鍼灸手技療法教育 Education of Acupuncture and Manual Therapy 第 11 回 報 告 集 第 10 巻 Vol.10 日本鍼灸手技療法教育研究会 発行 2014年3月  Mar.2014 目次 第11回 日本鍼灸手技療法教育研究会 【テーマ】 あはき教育を考える「教育と臨床」 【サブテーマ】 「初年次教育の課題と対策」 【日時】 平成25年12月1日(日) 【場所】 筑波大学東京キャンパス文京校舎    巻頭言「楽しく働いては、そうすれば組織は変わる」                              日本鍼灸手技療法教育研究会 会長 緒方 昭広・・・・・1    研究報告 1. 「学校アンケートからみた鍼灸専門学校の初年次教育の現状と課題」                         明治東洋医学院専門学校  河井 正隆・・・・3 抄録 パワーポイント資料 2. 「本校における初年次教育の取り組み」     履正社医療スポーツ専門学校  桑原 理恵・・・・13 抄録 パワーポイント資料 3. 「全国盲学校等における理療臨床実習の実態調査(第2報) ─平成16年度調査と比較した現況報告─」  和歌山県立盲学校  松下 淳二  藤岡 賢・・・・18 抄録 パワーポイント資料                          4. 「自宅開業を生かした臨床教育」                福島県立盲学校   小野 祥一郎・・・・31 抄録  講演    「初年次教育の課題と対策」                 共栄大学教育部教授  光野 公司郎・・・・35     抄録     資料  第11回 学術大会 アンケート結果                                       ・・・・42     第11回 総会 議事録                                               ・・・・47 巻頭言 ―楽しく働いては、そうすれば組織は変わる― 日本鍼灸手技療法教育研究会                           会長 緒方 昭広  みなさんは「フィッシュ哲学」という行動規範(哲学)をご存じだろうか。この規範は組織を活性化させることを目的に、日本では病院に導入されているところが多くなっていると聞いている。そこで提案だが。本規範を学校という組織運営、学生の患者対応能力向上を目的とした指導、学生に対する教員の対応などに導入してはどうであろうかと考えている。実に身勝手な提案だが、もし実践する学校があれば是非反応をお聞きしたい。 さて、前置きが長くなりましたが、「フィッシュ哲学」の起こりについて、その概念の柱について如何に述べる。  本哲学(規範)は、アメリカのシアトルにさびれた魚市場であるパイク・プレイス公営市場を舞台に起こった哲学である。この市場がこの規範をみんなで実践したところ見事に復活したという、何か元気の出る話である。この規範は次の4つの行動が元になっている。 1.Be there:そこで待ってて、すぐ行くよ。 2.Make their day:楽しんでいってね。いい日になるよ。 3.Play:遊び心を持とう。 4.Choose your attitude:自分の仕事ぶりは、自分で決めよう。 1と2は顧客対応、3と4は自分の気持ちの持ちようを表現している。 1.「Be there」は、そこにいてください。せっかく来てくれたお客様をよく見て、放置することなく心のこもった声をかけ、そこまで言って要望をしっかりくみ取って商品を提供しようとする姿勢だそうだ。つまりは顧客、これは、教員から見れば学生であったり、上司であったり、また同僚ではないだろうか。また治療家であればもちろん患者さんである。 2.「Make their day」は、お客様、つまり学生、同僚、上司、患者さんである。この彼らにとっていい日、またいい時間にすることである。これらの人物との楽しいやりとりや彼らにとって良い提案をするなど、その言動や振る舞いを大切にすることが肝要であると言っているのであろう。そしてさらに、離れる際にも、自分の与えられたものや考えによって、相手が「いい時間やいい体験ができますように」と願うような、温かい声かけするということであろう。 3.「Play」は、遊び心が必要であると言っている。ユーモア、しゃれっ気、お茶目、ひねり、いたずら心などが感じられる様子をつくり、相手との心が通うことを基礎とした当たり前の行動ができるかが、相手への行為へのゆとりや余裕を持ち合わせているかによって決まるのではないだろうか。マニュアルや硬い態度ばかりでは、相手への余裕を持った対応は困難となろう。 筆者の一番苦手な部分でもある。知識、技術だけでは相手の心に響かせるためには、遊び心が必要なようである。 4.最後に「 Choose your attitude」は、これは仕事や相手への態度を、自分で考えて選ぶことである。相手、自分、組織にとってどのような気持ちで取り組むのが良いのかを自分で考えて決断する。評価されるから、みんながそうするから、相手がもとめているからといった他律的な考えではなく、自律的に、能動的に自らの考えを選択するということである。もちろん相手、組織、自分のためのより良い対応の選択である。 人生半ばを過ぎて、未だ未熟な自分への戒めをこめて、学校教育に携わる先生方、学生のさらなる飛躍を信じております。 平成26年1月25日 1.学校アンケートからみた鍼灸専門学校の初年次教育の現状と課題 明治東洋医学院専門学校 河井正隆  畑中仁美 1.はじめに  初年次教育は現在、我が国の多くの大学で導入され、大学以上に多様化した学生を抱える専門学校においてもその教育プログラムが今、問われている。しかし、専門学校における初年次教育を巡る議論は極めて少なく、その実態すら掌握されていないのが現状と思われる。  そこで本報告では、平成22年の調査(以下、22年調査)と平成25年実施の同調査(以下、25年調査)との比較を通し、初年次教育の現状と課題を報告する。具体的には、初年次教育の実施状況、初年次教育の内容などに焦点化する。 2.本調査について  (1)調査対象  (公社)東洋療法学校協会加盟校を対象に、カリキュラム作成の責任者<または、初年次教育担当者>に郵送法にて調査を依頼した。調査票は、川島(2008)、私学高等教育研究所(2005)らの先行調査票をもとに作成した。  (2)実施期間  22年調査は平成22年8月、25年調査は平成25年4月から5月に、それぞれ実施した。  (3)回収状況  22年調査は45校中31校(68.9%)、25年調査は46校中31校(67.4%)からそれぞれ回答があった。 3.22年調査と25年調査との比較  (1)初年次教育の実施状況  25年調査では、初年次教育を「実施している」学校は10校(32.3%)であり、22年調査から9.7ポイント高い結果となった。「予定している(検討中)」学校は6校(19.4%)と22年調査から9.6ポイント減少した。  (2)初年次教育を導入(または予定,検討中)している理由(上位3つ)  初年次教育の実施校と予定(検討中)も含めた16校において、その導入理由を次に示す。  1)第1位:25年調査では、「学力低下の対策」と「学習動機の向上」とがいずれも9校(56.3%)であった(22年調査からは8.4ポイント減少)。  2)第2位:25年調査では「中途退学者の防止」が8校(50%)であった(22年調査より2.9ポイント減少)。  3)第3位:25年度調査では「学習技術の教授」と「学生の多様化への対応」とがそれぞれ4校(25%)であった(22年調査から4.4ポイント減少)。  (3)授業の内容  22年調査より25年調査に多く見られた内容として、「高等学校で学んだ教科の補習教育」などが挙げられる。一方、25年調査で減少した内容は「専門学校全般に対する動機づけ」などであった。 4.おわりに  今後は、初年次教育の実施のありようも含め、入学前教育、初年次教育、専門教育という連続性の中で、どのように初年次教育を組み立てていくのかが課題となろう。    【謝 辞】  本調査にご協力頂いた学校関係者および担当者の方々に、衷心より感謝申し上げます。  【参考文献】  ・川島啓二 2008 「初年次教育の諸領域とその広がり」『初年次教育学会誌』第1巻,第1号,pp.26-32.  ・私学高等教育研究所 (研究代表者 山田礼子) 2005 「私立大学における一年次教育の実際」『私学高等教育研究叢書 4 』 パワーポイント資料(明治東洋医学院専門学校 河井正隆  畑中仁美) 学校アンケートからみた 鍼灸専門学校の初年次教育の 現状と課題 明治東洋医学院専門学校 ○河井正隆畑中仁美 はじめに 初年次教育は現在、我が国の多くの大学で 導入されている。 一方、大学以上に多様化した学生を抱える 専門学校においても、その教育プログラムは 今、さまざまな形で求められている。 しかし、専門学校における初年次教育の議 論は極めて少なく、その実態すら掌握されて いないのが現状と思われる。 . 大学教育では、入学者の多様化がクローズ アップされ、「高・大接続」を如何にしてスムー ズに行うか、今日的な課題。 . 専門学校入学者は、高校新卒者だけではなく、 社会人入学者も多く見られ、高校新卒者同様、 学業に困難を覚え、途中でドロップアウトするこ とも稀ではない。 . 専門学校も、「高・専接続」、「社・専接続」の議 論が今日的な課題。 3 そこで今回、 事例的に医療系専門学校(国家資格の取得を 目指す専門学校)の1つ、鍼灸・あんまマッサ ージ・指圧師教育(以下、あはき教育)におけ る初年次教育(導入教育)の実態調査を報告 する。 “初年次教育”と“導入教育” ●<22 年調査>平成22 年8月実施 ●<25 年調査>平成25 年4月〜5月実施 ⇒両者の比較検討を行う。 ※2調査とも質問項目は、すべて同一内容。 【今回の報告内容】 @初年次教育(導入教育)の実施状況 A初年次教育(導入教育)を導入(または予定,検 討中)している理由 B初年次教育(導入教育)の内容 本調査について (公社)東洋療法学校協会加盟校を対象。 カリキュラム作成の責任者<または、初年次 教育(導入教育)担当者>に調査を郵送法に て依頼。 調査票は、川島(2008) 、私学高等教育研究 所(2005) らの先行調査をもとに作成。 設問項目 設問1初年次教育(導入教育)の実施状況 設問2実施していない( 予定はない) 理由 設問3初年次教育( 導入教育) を導入(または予定, 検 討中)している理由 設問4授業の形態< 主要2科目まで> 設問5授業内容 設問6今後どのような授業が必要と思うか 設問7学生は, どの部分に満足しているのか 設問8どこに効果が現れているか 設問9今後の改善点 設問10 専門学校における初年次教育(導入教育)とは 8 実施期間、回収状況 【22 年調査】 実施期間:平成22 年8月〜9月 回収状況:45 校中31 校(回収率68.9%) 【25 年調査】 実施期間:平成25 年4月下旬〜5月初旬 回収状況:46 校中31 校(回収率67.4%) 22 年調査と25 年調査との比較 (1)初年次教育(導入教育)の実施状況 (%) 設問項目 @25 年調査 (N=31) A22 年調査 (N=31) @−A 1 実施している32.3 22.6 9.7 4 実施していない( 予定はない)48.4 48.4 0 2 実施を予定している0 3.2 -3.2 3 実施を検討中である19.4 25.8 -6.4 【25 年調査】(31 校中)を基準に、 「実施している」 ⇒10 校(32.3 %)と9.7 ポイント増加。 「予定している(検討中)」 ⇒6校(19.4 %)と9.6 ポイントの減少。 「実施していない(予定はない)」 ⇒差異はない。 (2)初年次教育(導入教育)を導入(または予定, 検討中)している理由 (%) 設問項目 @25 年調査 (N=16) A22 年調査 (N=17) @−A 2 学生の学力低下の対策として56.3 52.9 3.4 7 その他6.3 5.9 0.4 1 中途退学者の防止として50 52.9 -2.9 5 学生の多様化への対応として25 29.4 -4.4 3 学習技術の教授のため25 29.4 -4.4 6 学力格差を埋めるため12.5 17.6 -5.1 4 学習動機の向上のため56.3 64.7 -8.4 【25 年調査】(16 校中)を基準に、 1)第1位:「学力低下の対策」と「学習動機の向上」 ⇒いずれも9校(56.3%)<8.4 ポイント減少>。 ⇒22 年調査:「学習動機の向上」が第1位(64.7%) 。 「学力低下の対策」、「学習動機の向上」に初年次 教育(導入教育)が注目。 2)第2位:「中途退学者の防止」が8校(50%) ⇒2.9 ポイント減少 ⇒22 年調査では、「中途退学者の防止」、「学力 低下の対策」がいずれも52.9 %で第2位。 前述と合わせ、「学力低下の対策」に力点がシ フト。 3)第3位:「学習技術の教授」と「学生の多様 化への対応」とがそれぞれ4校(25%) ⇒同項目において、22 年調査と25 年調査との 差異は、25 年調査で4.4 ポイント減少。 (3) 授業の内容( 複数回答) (%) 設問項目 @25 年調査 (N=12) A22 年調査 (N=11) @−A 4 プレゼンテーションやディスカッションなど口頭発表の技法33.3 0 33.3 10 高等学校で学んだ教科の補習教育33.3 0 33.3 12 学生生活における時間管理や学習習慣の確立50 27.3 22.7 18 学校への帰属意識の向上16.7 0 16.7 5 読解・文献購読の方法25 9.1 15.9 25 学生の自信・自己肯定感25 9.1 15.9 14 情報収集や資料整理の方法33.3 18.2 15.1 2 図書館の利用・文献探索の方法8.3 0 8.3 6 フィールドワークや調査・実験の方法8.3 0 8.3 24 地域社会への理解と参加8.3 0 8.3 7 論理的思考力や問題発見・解決能力25 18.2 6.8 17 受講態度や礼儀・マナー25 18.2 6.8 15 ノートの取り方などの学習スキルの向上41.7 36.4 5.3 22 リーダーシップの育成8.3 9.1 -0.8 1 レポート・論文の書き方などの文章作法25 27.3 -2.3 8 新しい考え方や他人の価値観を認める寛容性25 27.3 -2.3 3 コンピュータを用いた情報処理や通信の基礎技術0 9.1 -9.1 9 国際性や世界観の変容0 9.1 -9.1 23 社会の構成員としての自覚・責任感・倫理観16.7 27.3 -10.6 21 チームワークを通じての協調性16.7 36.4 -19.7 11 自律した自己学習の基礎25 45.5 -20.5 19 友人関係の拡大と充実25 45.5 -20.5 20 適切なコミュニケーション能力41.7 63.6 -21.9 13 将来の職業生活や進路選択に対する動機づけ・方向づけ33.3 63.6 -30.3 16 専門学校全般に対する動機づけ8.3 45.5 16 -37.2 【25 年調査】(10 校中)を基準に、 ⇒大幅に増加した項目 ・「プレゼンテーションやディスカッションなど 口頭発表の技法」 ・「高等学校で学んだ教科の補習教育」 ・「学生生活における時間管理や学習習慣の 確立」など ⇒大幅に減少した項目 ・「専門学校全般に対する動機づけ」 ・「将来の職業生活や進路選択に対する動機 づけ・方向づけ」など これらの結果から、 初年次教育(導入教育)が、包括的なオリエ ンテーションの内容から、基礎的学力向上やプ レゼンテーション技法の重視などにシフト。 抽象的な授業内容から焦点化する授業内容へ の変容が浮かび上がる。 今後必要と思う授業内容のまとめ −リテラシーとコンピテンシーから ●リテラシー 自らの知識を活用して問題を解決する能力 ■コンピテンシー 人間関係として他者と自己との間にベストな 状態を維持しようとする能力 ●必要性が高まった項目:【リテラシー領域】 ・レポート・論文の書き方などの文章作法 ・図書館の利用・文献探索の方法 ・コンピュータを用いた情報処理や通信の基礎技 術 ・読解・文献講読の方法 ・フィールドワークや調査・実験の方法 ・論理的思考力や問題発見・解決能力 ・情報収集や資料整理の方法 ・プレゼンテーションやディスカッションなど口頭発 表の技法 ●必要性が高まった項目:【コンピテンシー領域】 ・新しい考え方や他人の価値観を認める寛容性 ・学校への帰属意識の向上 ・友人関係の拡大と充実 ・地域社会への理解と参加 ・国際性や世界観の変容 ■必要性が減少した項目【リテラシー領域】 ・高等学校で学んだ教科の補習教育 ・自律した自己学習の基礎 ・ノートの取り方などの学習スキル ■必要性が減少した項目【コンピテンシー領域】 ・適切なコミュニケーション能力 ・チームワークを通じての協調性 ・リーダーシップの育成 ・社会の構成員としての自覚・責任感・倫理観 ・学生の自信・自己肯定感 ・将来の職業生活や進路選択に対する動機づ け・方向づけ ・受講態度や礼儀・マナー ・(専門学校全体に対する動機づけ) 要約すると、 必要性が高まった項目を概観して 実務的な内容が多くを占め、併せて社会 性の涵養などを図る内容も高まる 必要性が減少した項目を概観して リメディアルな内容とともに、社会的調和 を涵養するなどの内容は減少 おわりに 22 年調査と25 年調査との比較から、あはき教 育における初年次教育(導入教育)の現状を全 国レベルで検討した。 調査結果を概観して、初年次教育(導入教育) の3年間におけるその変容を窺い知ることがで きた。 初年次教育(導入教育)の実施の是非も含め、 どのような意義づけで初年次教育(導入教育) を組み立てていくのかなど、今後の検討が必 要。 【課題1:システムの課題】 入学前教育⇒初年次教育(導入教育) ⇒専門教育(卒前教育)⇒生涯教育(卒後教育) 【課題2:接続の課題】 「高・専接続」・「社・専接続」 →何を接続するのか、または接続の必要性 があるのか? →教育方法?教育内容? →それとも、他のもの(例えば、学習方法)? 謝辞 . 22 年調査は、2010 年度「NPO 法人学習開発研 究所」研究助成金交付により実施したものです。 . 25 年調査は、2013 年度「本校個人教育研究費」 からの支出により実施したものです。 ここに深謝いたします。 また、本調査にご協力頂いた学校関係者および担 当者の皆様に,衷心より感謝申し上げます。 主要参考文献 . 私学高等教育研究所2005 「私立大学におけ る一年次教育の実際」『私学高等教育研究叢 書4 』. . 文部科学省2009 『大学における教育内容等 の改革状況について』(平成21年3月31日). . 山田礼子2009 「日本の初年次教育の展開」 『初年次教育学会誌』第2巻,第1号,pp.3-23. 平成24 年度学校基本調査から 専門学校の実態 . 専門学校において,入学者の年齢層は大学 に比べると幅広く,学歴や職種なども様々. . 平成21年度(社)東洋療法学校協会(『会報』 第81号3.4半期報)から(図1). →昼間部:高卒者31%. →夜間部:高卒者4.9%. 初年次教育(導入教育)における 授業内容 今後、必要と思われるもの!  2.本校における初年次教育の取り組み    履正社医療スポーツ専門学校                        桑原 理恵    本校では、平成20年度より、初年次教育として、『7つの習慣J(以下7J:株)FCEエデュケーション提供)』に基づいた授業を行っている。『7J』とは、スティーブン・コヴィー氏による著作『7つの習慣』をもとに、学校教育に取り入れやすい形にアレンジされたプログラムである。本校では、高校生対象のものと社会人対象のものを特別に編集したプロ部ラムを用意していただき、「生きる力」「人間力」といった、「試験で点を取るためだけではない教育」を行っている。本校で『7J』の授業を行うために、4名の教員がファシリテーターの研修を受けている。   学習効果の評価として、毎時間、「感想シート」、「振り返りシート」を、最終の授業時に「自己分析シート(別紙資料)」を実施している。「感想シート」では、その日の授業内容の理解度を確認する。「振り返りシート」では、1週間前の授業の最後に、学生各自に設定させた目標について、達成度等を確認する。「自己分析シート」は、授業実施期間の成長度合いを確認するための詳細な評価であり、あらかじめ設定した評価項目に対して達成できたかどうか、『7J』の授業をどのように感じたかなどの評価を詳細に行う。   過去5年間の「自己分析シート」を振り返ると、「自分の考えや気持ちが変わった点」という質問において、毎年のように、8割以上の学生が「変わった」と自覚する項目が複数存在している。また、「『7J』をどのように考えますか」、「『7J』を受講してどう感じていますか」という質問項目に対しては、いずれの年度においても、概ね肯定的な意見が見られている。   毎年の「自己分析シート」を、教員の授業の反省・改良の材料としても活用している。年々、授業の内容、進め方に改善を試みているため、教員側の自己評価は年々改善しているが、学生に対する効果の評価は、受講する学生の組成が毎年様々であるため、年度毎で比較することは難しいと考えている。   しかしながら、そもそも、初年次教育の評価とはどのように測るものなのだろうか。授業が「良いものである」との回答が多ければよいのであろうか。教育内容が学生自身に実用されなければ意味が無いように思われる。しかしながら、実用されたのかどうかの評価は難しく、「卒業して社会人になってから気付く」との教員の意見もある。その他にも、正規の一コマを使ってまで授業で行う必要性があるのか、授業を行う教員によって授業の質が変化しやすく効果や評価もばらつきが出やすいのではないか、本当に学生にとって必要な内容が提供できているのだろうかなど、問題・課題は6年目現在でも解決していない。 パワーポイント資料(履正社医療スポーツ専門学校 桑原理恵) 本学における 初年次教育の取り組み 履正社医療スポーツ専門学 校 鍼灸学科教員 桑原理恵 本校での初年次教育の流れ 本校では、平成20 年度に、一般教養でもな く、専門教育でもない、本授業を導入した。 毎時間、毎年、フィードバックを重ね、よ り学生のニーズに合うように内容の変更を 行ってきた 5年間のうちに、内容は大きく変更し、6年 目の今年は、目的そのものが全く異なる授 業へと変化させようとしている 目的(当初の目的) 目標を達成する力を習得する 自発的に問題解決に取り組む姿勢(意欲的 な人間性)を作る よりよい人間関係を築くための、コミュニ ケーション能力を高める *「試験で高得点を取るため」ではない教育 *よりよい(一歩秀でた?)社会人、医療人を目指 す 人間力生きる力 実施状況 平成20 年度、「7つの習慣J(7J) :株) FCE エデュケーション提供」を授業の一つと して導入した。 本校で「7J」の授業を行うために、教員が ファシリテーター研修を受けている。 1年生の前期、週1コマ 毎時間、授業後にアンケート(感想シート・ 振り返りシート)を実施し、授業の感想を得 ると同時に、次週へ向けての目標設定を行わ せ、取り組みへの意識付けを図る。 7J(7つの習慣J)とは アメリカ人・スティーブン・コヴィー氏の 著作のビジネス書『7つの習慣R』を、日 本の子供たちが実践的に学べるよう開発さ れたプログラムである。 本校では、高校生対象のもの と社会人対象のものを特別に 編集したプログラムを用意し ていただいた。 7つの習慣と7J 第1の習慣:自分が選択する 成績が悪い、何かがうまくいかない。これは 学校のせい。誰かのせい。 ⇒自分自身の問題として考えられることを目 指す 第2の習慣:終わりを考えてから始める 自分がどんな人間になりたいのか。なんのた めに勉強をするのか。 ⇒目標をもち、目標に向かって考える、なん のための行動なのかを考えて行動することを 目指す 7つの習慣と7J 第3の習慣:一番大切なことを優先する ついつい、大切なことよりも、楽しいこと、 楽な方へ意識が向いてしまう ⇒自分にとって大切なことはなんなのかを考 え、行動の優先順位をつけることを目指す 第4の習慣:Win-Win を考える 勝ち負けにこだわる。自分さえよければよい 又は相手が気を悪くしないように相手に合わ せてしまう。 ⇒我慢すればよいのか、押し通すのが良いの か。相手への思いやりを考えながら、自分を 主張することを目指す 7つの習慣と7J 第5の習慣:まず相手を理解してから理解され る 自分の話ばかりしてしまう。コミュニケー ションがうまくとれない。 ⇒聴くことの大切さを理解する。円滑なコ ミュニケーションを目指す 第6の習慣:相乗効果を発揮する 自分の考えがもっとも正しい?今の考えがベ ストか? ⇒他人と協力することで、よりよい結果を導 き出すことを理解する。 7つの習慣と7J 第7の習慣:自分を磨く 勉強だけができればよい? 技術だけがあればよい? ある程度のことができる、今の自分でよ い? ⇒バランス良く自分を向上させることを 目指す。常に自分を高めることで、さらに 高い目標を持つことができることを理解す る。 感想シート @今後一週間のチャレンジとゴール A(授業の)感想 B今週の授業の内容は役立ちそうですか □とても役立ちそう〜 □全く役立たない(5段階で評価) C今週の先生の話はわかりやすかったですか □とてもわかりやすい〜 □全くわからない(5段階で評価) D今週のチャレンジをやってみようと思っていま すか □強く思っている〜 □絶対にやりたくない(5段階で評価) 振り返りシート @前回のチャレンジとゴールの内容 A前回のチャレンジのゴールは達成できましたか? □チャレンジをしたことでゴール達成できた □チャレンジしたがゴールは達成できなかった他 B前回から今週までに感じたことがありましたか □実際にやってみてチャンレンジは大変だった □チャレンジをしたことで、得るものがあった □授業を受けて自分の考えが変わった他 C前回に比べて自分の気持ちや考え方、行動、結果 等が良い方向に変わりましたか 良い方へ大きく変わった〜 悪い方へ大きく変わった(5段階で評価) 自己分析シート 最終授業時に実施 内容 問1.自分の気持ちや行動で、何か成長し たこと、変化したことを100 文字以内で書 きなさい。 問2.自分の考えや気持ちで変化したこと として該当する者に○をつけてください。 25 年度 午前部午後部 @ チャレンジすることの大切さが分かった78.6% 82.1% A 諦めずに継続することの大切さが分かった57.1% 85.7% B 「できない」という思い込みを解除できた35.7% 25.0% C 自分に自信が持てるようになった35.7% 10.7% D 人のせいにすることが少なくなった57.1% 28.6% D 何事も自分の責任であると思うようになった42.9% 53.6% F どんなことでも楽しむことができるようになった42.9% 32.1% G 将来のことを考えるようになった78.6% 82.1% H 自分の大切なものがわかった64.3% 35.7% I 自分にとっての「大きな石」を意識するようになった21.4% 17.9% J 時間を気にするようになった・毎日を大切にするようになった57.1% 60.7% K 人からの「信頼」を意識するようになった57.1% 39.3% L 人を信じるようになった50.0% 21.4% M 人のことを思いやるなど、他人とのWin-Win を考えるようになった57.1% 57.1% N 人の成功を喜ぶことができるようになった42.9% 39.3% O 人のことを理解しようと思うようになった71.4% 78.6% P 人との違いを理解できるようになった71.4% 39.3% Q 相乗効果を考えることができるようになった35.7% 32.1% R 自分を磨くことを意識するようになった50.0% 60.7% S バランス良く磨くことを意識している50.0% 46.4% 24 年度 午前部午後部 71.4% 85.7% 76.2% 76.2% 42.9% 42.9% 19.0% 28.6% 52.4% 57.1% 52.4% 71.4% 71.4% 42.9% 76.2% 90.5% 47.6% 47.6% 42.9% 57.1% 42.9% 57.1% 33.3% 57.1% 38.1% 38.1% 52.4% 61.9% 42.9% 57.1% 42.9% 76.2% 47.6% 47.6% 28.6% 42.9% 61.9% 76.2% 33.3% 33.3% 23 年度 午前部午後部 88.9% 69.2% 88.9% 84.6% 55.6% 46.2% 11.1% 23.1% 66.7% 46.2% 77.8% 61.5% 44.4% 38.5% 100.0% 65.4% 33.3% 42.3% 66.7% 57.7% 55.6% 61.5% 44.4% 53.8% 44.4% 38.5% 55.6% 57.7% 55.6% 61.5% 88.9% 73.1% 44.4% 61.5% 33.3% 38.5% 55.6% 69.2% 33.3% 38.5% 22 年度 午前部午後部 83.3% 58.3% 75.0% 50.0% 33.3% 16.7% 8.3% 16.7% 66.7% 33.3% 66.7% 50.0% 50.0% 25.0% 66.7% 66.7% 58.3% 25.0% 41.7% 41.7% 25.0% 41.7% 25.0% 25.0% 33.3% 16.7% 58.3% 25.0% 58.3% 33.3% 83.3% 41.7% 50.0% 50.0% 41.7% 33.3% 50.0% 41.7% 8.3% 58.3% 4.自分の行動が変化したこととして該当 する者に○をつけてください。 @ 諦めずに最後まで努力することができた28.6% 21.4% A 失敗したときに、何が悪かったのか振り返るようになった85.7% 67.9% B 規則正しい生活ができるようになった28.6% 10.7% C 周りのせいにしていないで、自分から行動を起こすようになった57.1% 50.0% D 前向きに受けたり、真面目に取組んだりするようになった57.1% 53.6% E ちょっとしたことで怒らなくなった42.9% 39.3% F 自分で決めたことは、きちんと実践できるようになった35.7% 25.0% G 何かを始めるときに、結果を考えてから行動するようになった42.9% 35.7% H 将来のことを考えた計画を作成した35.7% 39.3% I 計画を立てるようになった71.4% 42.9% J 大切だけど後回しにしていたことをやるようになった35.7% 39.3% K 挨拶ができるようになった71.4% 46.4% L 人に感謝したり、謝ったりすることが増えた64.3% 46.4% M 家の手伝いや親孝行をするようになった35.7% 17.9% N 嫌いな人にも話しかけるようになったり、関わりを持とうとするようになった28.6% 21.4% O 勇気を出して自分の意見を言えるようになった50.0% 14.3% P 友人の夢や目標に興味を持つようになった・友人の夢や目標を知った71.4% 46.4% Q 人が話をしている間、口を挟まないようになった42.9% 32.1% R 「相乗効果」を考えて行動ができるようになった28.6% 17.9% S 将来の目標の為に、勉強や筋トレなど、「自分を磨く」ようになった64.3% 64.3% 38.1% 52.4% 38.1% 76.2% 9.5% 9.5% 42.9% 57.1% 42.9% 71.4% 47.6% 42.9% 47.6% 28.6% 28.6% 71.4% 28.6% 52.4% 33.3% 61.9% 38.1% 57.1% 33.3% 42.9% 23.8% 52.4% 33.3% 38.1% 33.3% 42.9% 19.0% 47.6% 38.1% 57.1% 14.3% 52.4% 14.3% 38.1% 57.1% 66.7% 33.3% 26.9% 44.4% 65.4% 33.3% 19.2% 44.4% 38.5% 66.7% 57.7% 77.8% 46.2% 33.3% 30.8% 44.4% 23.1% 55.6% 38.5% 33.3% 50.0% 55.6% 42.3% 55.6% 50.0% 66.7% 53.8% 33.3% 26.9% 55.6% 11.5% 44.4% 19.2% 66.7% 42.3% 55.6% 42.3% 33.3% 38.5% 66.7% 61.5% 33.3% 25.0% 58.3% 50.0% 25.0% 16.7% 50.0% 25.0% 41.7% 33.3% 50.0% 33.3% 8.3% 33.3% 50.0% 25.0% 25.0% 33.3% 25.0% 41.7% 25.0% 25.0% 75.0% 41.7% 75.0% 41.7% 25.0% 25.0% 50.0% 16.7% 50.0% 25.0% 50.0% 25.0% 75.0% 41.7% 50.0% 33.3% 66.7% 66.7% 問3「7つの習慣」についてどのよ うに考えますか @「7つの習慣」を受 講できたことに感謝 している A 「7つの習慣」のお かげで、成長できた と感じている B 「7つの習慣」を身 に付けたいと感じて いる C 「7つの習慣」をい いものだと感じてい る D 「7つの習慣」に価 値を感じない 問5.「7つの習慣J」を受講して、 どう感じていますか 1.自分の夢や目標に向 けて、「7つの習慣」 を意識した行動ができ るようになった 2.勉強や仕事・アルバ イト、人間関係におい て、「7つの習慣」を 意識して行動すること ができるようになった 3.チャレンジを通じて、 「7つの習慣」を実践 できた 4.チャレンジを実施で きるようになった 実際の声・・・・? 授業「7J」の問題点・課題 必要性の検討 目的の明確化 効果の評価方法 既成の(商品化された)プログラムの 使用と内容の適否 教員の技量や人間性の差異による、効 果および学生評価の差 今後・・・ ・新たな「初年次教育」の検討中・・・  3.全国盲学校等における理療臨床実習の実態調査(第2報)  −平成16年度調査と比較した現況報告−                           和歌山県立和歌山盲学校                                松下 淳二 藤岡 賢   1 はじめに  理療臨床実習は、多様な患者に対応できる理療師を育成するために、臨床実習室の設備はもとより、技術指導体制、危機管理の意識づけ等、様々な配慮が必要である。  本校では、平成16年度に、適切な臨床実習形態のあり方を検討する目的で、全国の盲学校(特別支援学校)、および更生援護施設における臨床実習の実態調査を実施している。そこで、今回は先の調査対象校に加え、東洋療法学校協会加盟のあはき師養成学校にも依頼して臨床実習の実態調査を行った。この結果を前回の結果と比較することで、より実情に即した臨床実習指導のあり方を再検討することにした。   2 調査の概要 (1)主題 「全国盲学校等における理療臨床実習の実態調査(第2報)」 (2)調査目的 全国の盲学校、およびあはき師養成学校の臨床実習に関してアンケー  ト調査を行い、よりよい臨床実習形態を検討するための基礎資料を作成する。 (3)調査項目 臨床実習に関する調査項目を34問とし、回答方式は選択回答形式、若しくは自由回答形式で質問文を作成した。 (4)調査対象 理療科教育課程を設置する次の学校および施設を対象に、平成24年度の実績について調査を行った。(合計111校)  ア 盲学校(特別支援学校) 59校  イ 更生援護施設 7施設   ウ 東洋療法学校協会加盟校 45校 (5)調査方法 郵送調査法とし、調査票を対象校へ郵送する。 (6)実施期間 平成25年4月12日(金)〜平成25年5月1日(水)   3 調査結果  集計は単純集計を行い、調査項目34問の結果を次の項目に整理した。 (1)学校・施設の全体像 (2)患者の対応 (3)使用鍼・施灸方法・感染対策(4)開設届 (5)予約制とカルテ管理 (6)校外臨床 (7)申し合わせ事項 (8)臨床実習上の工夫 (9)参考意見   4 おわりに  アンケート調査結果にもとづき、盲学校、およびあはき師養成学校における臨床実習状況の基礎データを作成し、前回調査の集計結果と比較した。今後はこの調査の現況を参考に、より適切な臨床実習体制を模索したい。 パワーポイント資料(和歌山県立和歌山盲学校 松下淳二) 全国盲学校における理療臨床実習の実態調査(第2報) − 平成16年度調査と比較した現況報告 − 和歌山県立和歌山盲学校 松下 淳二、杉本 淳治、野尻 誠、 藤岡 賢、岡井 ほづみ       1 はじめに  理療臨床実習は、多様な患者に対応できる資質の高い理療師を育成するために、臨床実習室の設備はもとより、技術指導体制、危機管理の意識づけ等、様々な配慮が必要である。本校では、平成16年度に、適切な臨床実習形態のあり方を検討する目的で、全国の盲学校および更生援護施設(以下「盲学校」)における臨床実習の実態調査を実施している。  そこで、今回は先の調査対象校に加え、東洋療法学校協会加盟校(以下「学校協会」)にも依頼して臨床実習の実態調査を行った。この結果を前回と比較することで、より実情に即した臨床実習指導のあり方を再検討することにした。 2 調査の概要 (1)主題 「全国盲学校における理療臨床実習の実態調査(第2報)」 (2)調査目的 全国の盲学校、および学校協会の臨床実習に関してアンケート調査を  行い、よりよい臨床実習形態を検討するための基礎資料を作成する。 (3)調査項目 臨床実習に関する調査項目を次の34問とした。アンケートの質問文 は、回答者にとって明確で分かりやすい文章作りを心がけ、回答方式は自由回答形 式、若しくは選択回答形式で作成した。調査票の内容は、【資料】(後掲)のとおりで ある。なお、学校協会へはQ6から回答を依頼した。 │Q │内 容 │Q│内 容 │Q│内 容 │Q │内 容 ││ │ 1 │ 設置学科 │11│ 使用鍼 │21│ 開設理由 │31 │ 臨床カンファレンス││ │ 2 │ 生徒・教員数 │12│ 鍼使捨て│22│ 看板設置 │32 │ OSCE ││ │ 3 │ 臨床生徒・教員数│13│ 灸の方法│23│ 予約制 │33 │ 空き生徒対応││ │ 4 │ 教員持時間数 │14│ 指サック│24│ 予約方法 │34 │ 参考・意見 ││ │ 5 │ 臨床実習時間数 │15│ 使用時期│25│ 継続治療 │ │ │ 6 │ 施術時間 │16│ 問題点 │26│ 継続回数 │ │ │ 7 │ 1人当年間患者数│17│ B型肝炎│27│ カルテ管理│ │ │ 8 │ 1日2人以上施術│18│ 公費負担│28│ 校外臨床 │ │ │ 9 │ 施術料金 │19│ 開設届 │29│ 規約 │ │ │10 │ 保険加入 │20│ 開設者 │30│ 評価基準 │ │ (4)調査方法 調査依頼先へアンケート用紙(記録CDを同梱)を郵送し、回答書は  封書、またはEメールにて返送を依頼する郵送調査法とした。 (5)実施期間 平成25年4月12日(金)〜平成25年5月1日(水) (6)調査対象および回答校数(回収率) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう教育 課程を設置する学校および施設併せて111校を対象に、平成24年度の実績について 調査を行った。各依頼先と回収率は、@盲学校(特別支援学校)59校中回収50 校84.7%、A更生援護施設7施設中回収3施設42.9%、B学校協会45校中回収23 校51.1%で、合計111校中回収76校68.5%のご回答をいただいた。なお、平成16年 度調査は、67校中回収60校89.6%である。 │  種別 │今回(平成25年度) │前回(平成16年度) │ │ │ │依頼│回収│回収率 │依頼│回収│回収率 │ │ │ │盲学校(特別支援学校)│59 │50 │84.7% │61 │55 │90.2% │ │ │盲学校 │更正援護施設 │7 │3 │42.9% │6 │5 │83.3% │ │ │ │合計 │66 │53 │80.3% │67 │60 │89.6% │ │ │学校協会 │45 │23 │51.1% │ │ │合計 │111 │76 │68.5% │ │ 3 調査結果および考察   集計は単純集計を行い、調査項目34問の結果を次の10項目に整理して述べる。 │(1)学校・施設の全体像 (2)患者の対応 (3)使用鍼・施灸方法 │ │(4)感染対策 (5)開設届 (6)予約制とカルテ管理 (7)校外臨床 │ │(8)申し合わせ事項 (9)臨床実習上の工夫 (10)参考・意見 │ 以下、「表」と「Q」は同番号とし、表項目の平成16年度盲学校調査は「H16」、平成25年度盲学校調査は「H25」、学校協会調査は「学協」とする。 (1)学校・施設の全体像  Q1理療科の設置学科、Q2理療科生徒数・教員数、Q3臨床担当生徒数・教員数、 Q4教員持時間数、Q5臨床実習時間数については、次のとおりである。 │【表1】設置学科(校数 %) │ │学 科 │H16 │H25 │ │本保 │46(76.7) │42(79.2) │ │専保 │29(48.3) │34(64.2) │ │専理 │54(90.0) │51(96.2) │ │その他 │ 8(13.3) │ 4(7.5) │ │【表2】理療科生徒数・教員数(人)│ │内 容 │H16 │H25 │ │在籍生徒 │31.8 │21.9 │ │理療科教員 │11.8 │11.3 │ │実習助手 │2.8 │2.8 │ │【表5】臨床実習時間数 │ │(時間/週) │ │内 容│H16 │H25 │ │本保 │6.3 │6.4 │ │専保 │9.7 │10.5 │ │専理 │12.5 │13.2 ├────────────────────────── │【表3】臨床担当生徒数・教│ │員数(人) │ │内 容 │H16 │H25 │ │生徒数 │13.2 │10.8 │ │教員数 │7.3 │7.2 │ │【表4】教員持時間数 │ │(時間/週) │ │内 容 │H16 │H25 │ │平均授業│16.7│16.8 │ │時間数 │ │ │  学科の設置(表1)は、H16調査とH25調査を比較すると、各科の割合は増加し、本科保健理療科(以下「本保」)76.7%から79.2%、専攻科保健理療科(以下「専保」)48.3%から64.2%、専攻科理療科(以下「専理」)90.0%から96.2%である。  理療科の生徒数・教員数(表2)、臨床担当生徒数・教員数(表3)は、各盲学校・施設の規模により差が生じるが、平均すると在籍生徒は31.8人(臨床担当13.2人)から21.9人(臨床担当10.8人)と減少した。理療科教員は11.8人(臨床担当7.3人)から11.3人(臨床担当7.2人) とやや減少し、実習助手2.8人は同じである。また、教員1人あたりの週平均授業時間数(表4)は、16.7時間から16.8時間と微増した。臨床実習時間数(表5)は、本保6.3時間から6.4時間、専保9.7時間から10.5時間、専理12.5時間から13.2時間とそれぞれ増加した。  この結果から、昨今、全国的に盲学校の生徒減少が進んでいる中でも、臨床実習の時間は増加しており、各校とも施術経験の重要性を認識している表れと考えられる。 (2)患者の対応  Q6施術時間、Q7生徒1人あたりの年間患者数、Q8生徒1人が1日2人以上施術、 Q9施術料金、Q10保険加入については、次のとおりである。 │【表6】施術時間(分) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │ 全体平均│63.3 │62.2 │56.2 │ │最短平均 │40.0 │47.5 │40.0 │ │最長平均 │120.0 │90.0 │70.0 │ │【表7】生徒1人あたり年間患者数(人)│ │内 容 │H16 │H25 │ │本保 │86.7 │87.1 │ │専保 │115.0 │141.4 │ │専理 │179.7 │212.0 │ │【表8】1日2人以上施術(日/週) │ │内 容 │H16 │H25 │ │本保 │1.3 │1.7 │ │専保 │2.0 │3.1 │ │専理 │3.3 │3.7 │ │【表9-1】施術料金(円) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │平均 │692 │683 │1118 │ │最小 │300 │300 │500 │ │最大 │1050 │1050 │3300 │ 【表9-2】異なる施術料金 │《 盲学校 》 │ │ ○ あん摩500円、はり+あん摩600円  ○ 初診1040円、再診520円  ○ 施術料金は無料│ │ ○ あん摩500円、あん摩+はり又は灸800円  ○ 鍼500円、あん摩50分500円、80分700円│ │○ あん摩530円、あん摩鍼灸630円  ○ 50分600円、70分800円   │ │○ あん摩、鍼、灸、物療いずれか1術800円、2術以上1000円  ○ あん摩800円、鍼灸900円│ │ ○ 全身あん摩700円、部分:頭頸部50円、上肢・下肢各100円、肩背部・腰殿部・腹部各200円、│ │鍼300円、灸100円、物療50円  ○ あん摩700円、鍼灸300円、あん摩+鍼灸1000円 │ │ ○ あん摩全身800円・半身400円、鍼400円(半身あん摩併用800円)、電気療法200円(加算方式)│ │ ○ 全身あん摩1000円、半身あん摩と鍼1000円、半身あん摩800円、鍼のみ800円、小児鍼300円│ │ ○ あマ指・鍼・灸各700円、あマ指鍼・あマ指灸各900円、あマ指鍼灸1100円、電気温熱各100円│ │ 《 学校協会 》 │ │ ○ 新患2100円、継続1600円 ○ 実習500円、一般2000円 │ │ ○ 一般患者1500円、学生患者500円 ○ 施術料金は無料(5施設) │ │ ○ 施術内容でなく、学生、紹介、一般で異なり、研究対象の際は更に異なる  ○ その他│ │【表10-1】賠償責任保険加入(校数 %)│ │内 容│H16 │H25 │学協 │ │加入 │38(63.3)│45(84.9)│21(91.3)│ │ 生徒 │ 9(23.7)│ 8(17.8)│ 1(4.8)│ │ 職員 │ 2(5.3)│ 1(2.2)│ 2(9.5)│ │ 生徒・職員│20(52.6)│35(77.8)│15(71.4)│ │ 未回答│ 7(18.4)│ 1(2.2)│ 3(14.3)│ │未加入│22(36.7)│ 8(15.1)│ 2(8.7)│ │【表10-2】加入している保険会社(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │三井住友海上火災保険│26(68.4)│ 9(20.0)│5(31.3)│ │東京海上日動火災保険│ 7(18.4)│28(62.2)│9(56.3)│ │東海日動パートナーズジャパン│− │ 7(15.6)│1(6.3)│ │都道府県学校管理者賠償│− │ 1(2.2)│− │ │保険 │ │ │ │ │NPO全国鍼灸マッサージ協会│− │− │ 1(4.8)│  患者の対応に関して、患者1人あたりの施術時間(表6)は、盲学校で全体平均63.3分(最短平均40分〜最長平均120分)から62.2分(47.5分〜90分)、学校協会で56.2分(40分〜70分)である。生徒1人あたりの年間患者数(表7・グラフ1)は、本保86.7人から87.1人(0.4人増)、専保115人から141.4人(26.4人増)、専理179.7人から212人(32.3人増)で、本保は微増し、専保と専理で増加した。 生徒1人が1日2人以上施術(表8)は、週あたり、本保1.3日から1.7日、専保2.0日から3.1日、専理3.3日から3.7日と各科とも増加した。この患者数の増加は、前述の臨床時間数が増加したことからも推察される。なお、学校協会の年間患者数は回答数が少なかったため集計には入れていない。これは学校協会では、毎日、1人の生徒が1人の患者を施術するケースは少ない様子で、指導教員の施術を見学したり、数名のグループで1人の患者にあたるような回答が見受けられたためである。  施術料金は、一律料金(表9-1)の場合、平均692円(300円〜1050円)から683円(300円〜1050円)とほぼ同額で変わっていなかった。学校協会は1118円(500円〜3300円)で、また、料金を徴収せず「無料」の回答が5校あった。異なる料金(表9-2)は、各校様々で特色ある料金体系をとっている。  賠償責任保険への加入(表10-1)は、加入校38校(63.3%)から45校(84.9%)と21.6%の増加がみられた。この加入率の増加は、リスク管理意識の高まりと考えられる。学校協会でも、21校(91.3%)と高い加入率を示している。また、加入対象は、生徒と職員の単独加入よりも生徒・職員共に加入の方が多く、盲学校では20校(52.6%)から35校(77.8%)と増加し、学校協会では15校(71.4%)である。  加入校の契約保険会社(表10-2)は、ほとんどの学校が、三井住友海上火災保険、または東京海上日動火災保険である。 (3)使用鍼・施灸方法  Q11使用鍼、Q12鍼の使い捨て、Q13灸の方法、Q14指サック、Q15指サックの使用開始時期、Q16指サックの問題点は、次のとおりである。 │【表11】使用鍼(校数) │ │内 容 │H16 │H25│学協│ │銀鍼 │14 │18 │6 │ │ステンレス鍼│51 │50 │22 │ │【表12】鍼の使い捨て(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │使い捨てにする│51(85.0)│51(96.2)│22(95.7)│ │【表14】指サック(校数 %) │ │内 容│H16 │H25 │ 学協│ │使用 │13(22.4)│20(37.7)│ 8(34.8)│ │【表13】灸の方法(校数 %) │ │内 容│H16 │H25 │学協 │ │透熱灸│29(48.3)│15(28.3)│21(91.3)│ │温熱灸│45(75.0)│46(86.8)│12(52.2)│ │灸頭鍼│23(38.3)│17(32.1)│13(56.5)│ │その他│9(15.0) │9(17.0)│4(17.4) │ │【表15】指サックの使用開始時期(校数 %)│ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │鍼実習初期│5(38.5)│15(75.0)│7(87.5)│ │鍼実習途中│3(23.1)│2(10.0)│1(12.5)│ │臨床開始時│2(15.4)│1(5.0) │0(0.0) ├─────────────────── 【表16】指サックの問題点 │○ 指の触察感覚が低下し、施術にマイナスとなる。 │ │○ 操作が難しくなりかえって鍼刺し等の危険が考えられる。 │ │○ 施術の幅が狭められ、使い勝手が悪いので使用を中止した。 │ │○ 感染リスクが高い(B肝患者・手指の外傷等)場合以外は使用しない。 │ │○ ラテックス又はニトリル製グローブを着用しているため用いない。 │ │○ 教員も使用していないので指導ができない。  その他 │  臨床で用いる使用鍼(表11)は、盲学校で銀鍼14校から18校、ステンレス鍼51校から50校、学校協会で銀鍼6校、ステンレス鍼22校で、全体的にはステンレス鍼を用いている傾向に変わりはない。また、鍼の使い捨て(表12)については、盲学校で51校(85.0%)から51校(96.2%)、学校協会で22校(95.7%)と、使い捨ての傾向は定着している。  灸の方法(表13)は、盲学校では透熱灸29校(48.3%)から15校(28.3%)、温熱灸45校(75.0%)から46校(86.8%)、灸頭鍼23校(38.3%)から17校(32.1%)で、学校協会は透熱灸21校(91.3%)、温熱灸12校(52.2%)、灸頭鍼13校(56.5%)である。これは、盲学校では温熱灸が主で、透熱灸が少なくなる傾向がみられる。一方、学校協会では主として透熱灸が使用されている。  感染防止を目的とした刺鍼時の指サック使用(表14)は、盲学校では使用する13校(22.4%)から20校(37.7%)と増加し、学校協会では使用する8校(34.8%)である。指サック使用校で開始時期(表15)は、今回調査では鍼実習初期からが多く、盲学校20校中15校(75.0%)、学校協会8校中7校(87.5%)である。指サックの問題点(表16)は、主に、指先の感覚が鈍り、触察能力が低下し、鍼操作に影響する等の内容が多い。  患者や施術者を保護する方法として推奨される指サック1)は、盲学校の使用校で15.3%増えているが、まだまだ問題点が多く、種々の状況に応じて使い分けされている。今後、施術者が鍼体に触れることを禁じているクリーンニードルテクニック(CNT)の観点からも、再検討する必要があると考える。 (4)感染対策  Q17 B型肝炎ワクチン接種、Q18 B型肝炎ワクチン接種の公費負担は、次のとおり である。 │【表17】B型肝炎ワクチン接種(校数 %)│ │内 容│H16 │H25 │学協 │ │接種 │31(51.7)│33(62.3)│ 5(21.7)│ │未接種│26(43.3)│20(37.7)│12(52.2)│ │検討中│3(5.0)│0(0.0)│ 6(26.1)│ │【表18】B型肝炎ワクチンの公費負担(校数 %)│ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │公費である│30(96.8)│26(78.8)│1(20.0)│ │公費でない│1(3.2) │4(12.1) │4(80.0)│ │未回答 │0(0.0) │3(9.1) │0(0.0) │  B型肝炎ワクチン接種(表17)は、盲学校で接種31校(51.7%)から33校(62.3%)に増加し、学校協会で5校(21.7%)である。B型肝炎ワクチンの公費負担(表18)は、盲学校で30校(96.8%)から26校(78.8%)、学校協会で1校(20.0%)である。結果として、盲学校ではワクチン接種校が10.6%増加しているが、公費負担校は18.0%減少している。 (5)開設届  Q19開設届、Q20開設者、Q21開設理由、Q22看板の設置については、次のとお りである。 │【表19】開設届(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │届出済 │36(60.0)│39(73.6)│22(95.7)│ │未届出 │20(33.3)│13(24.5)│1(4.3)│ │検討中 │4(6.7) │1(1.9) │0(0.0)│ │【表21】開設理由 ││ │○ 保健所の指導 ││ │○ 教育委員会の指導 ││ │○ 近県の校長・事務長会議の申合わ│ │せ │ │○ 開設届けは法的義務 ││ │○ 施設基準に伴い届け出 ││ │○ 施術所としての位置づけ ││ │○ 地域の施術所に対する対応 ││ │○ 社会的信用を高める ││ │○ 施術料を徴収 ││ │○ 教職員の研修 ││ │○ 附属鍼灸室へ実習に行く関係 │ │○ 賠償責任保険加入 ││ │○ 医療・福祉関係機関との連携││ │○ 医療過誤発生時の補償 │ │○ その他 ├────────────────────── │【表20】開設者(校数) │ │内 容 │H16│H25 │学協│ │学校長・センター所長・理事│32 │30 │22 │ │長 │ │ │ │ │都道府県知事・市区町長│1 │5 │0 │ │教育長 │2 │3 │0 ├─────────────────  │【表22】看板の設置(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │設置 │39(65.0)│32(60.4)│20(87.0)│ │未設置 │21(35.0)│20(37.7)│3(13.0)│ │未回答 │0(0.0) │1(1.9) │0(0.0)│  開設届(表19)に関して、盲学校は届出している36校(60.0%)から39校(73.6%)と届出の増加がみられ、学校協会では22校(95.7%)とほぼ回答校全てが届けている。開設者(表20)は、盲学校と学校協会ともに、学校長・センター所長・理事長が多数を示した。開設届けの理由(表21)は要約すると、保健所等の指導、法的義務、施術所としての位置づけ、教職員研修、医療過誤対策等の理由が主である。看板の設置(表22)は、盲学校で設置している39校(65.0%)から32校(60.4%)、学校協会で20校(87.0%)である。 (6)予約制とカルテ管理  Q23予約制、Q24予約方法、Q25継続治療、Q26継続回数、Q27カルテ管理は、 次のとおりである。 │【表23】予約制(校数 %) │ │内 容│H16 │H25 │学協 │ │予約制│58(96.7)│53(100)│20(87.0)│ │非予約制│2(3.3) │0(0.0)│3(13.0)│ │【表24】予約方法(校数 %) │ │内 容│H16 │H25 │学協 │ │電話予約│54(90.0)│47(88.7)│19(82.6)│ │来校予約│31(51.7)│27(50.9)│10(43.5)├───────────────────  │【表25】継続治療(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │継続治療している│54(90.0)│46(86.8)│3(13.0)│ │継続治療していない│6(10.0)│6(11.3)│20(87.0)│ │未回答 │0(0.0)│1(1.9)│0(0.0)│ │【表26】継続回数(回) │ │内 容│H16 │H25 │学協│ │最低平均│2.0 │3.1 │1.0 │ │最高平均│30.0 │10.1│6.0 │ │【表27】カルテ管理(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │点字のみ │2(3.3) │2(3.8) │0(0.0)│ │活字のみ │3(5.0) │ 8(15.1)│23(100)│ │点字・活字両方│52(86.7)│41(77.4)│0(0.0) │ │電子カルテ │10(16.7)│18(34.0)│2(8.7) │ 受付の予約制(表23)は、盲学校で予約制をとる58校(96.7%)から53校(100%)、学校協会で20校(87.0%)で、ほとんどの学校は予約制をとっている。予約の方法(表24)は、盲学校で電話予約54校(90.0%)から47校(88.7%)、学 校協会で19校(82.6%)と、概ね電話予約が多い。 継続治療(表25)は、継続治療する54校(90.0%)から46校(86.8%)、学校協会で3校(13.0%)で、継続回数(表26)は、最低平均と最高平均で、H16の2回〜30回からH25の3.1回〜10.1回、学校協会で1.0回〜6.0回である。  カルテ管理(表27・グラフ2)は、 │【表28】校外臨床(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │盲学校で点字のみ2校(3.3%)から2校(3.8 │行う │47(78.3)│49(92.5)│4(17.4)│%)、活字のみ3校(5.0%)から8校(15.1 │ (公共施設)│21 │21 │1 │%)、点字・活字両方52校(86.7%)から41 │ (医療機関)│11 │8 │0 │校 │ (老健施設)│35 │36 │2 │ │ (一般企業)│18 │19 │0 │ │ (保育園)│2 │2 │0 │ │ (その他)│14 │9 │3 │ │行わない│13(21.7)│4(7.5)│19(82.6)│ (77.4%)、電子カルテ10校(16.7%)から18校(34.0%)、学校協会で活字のみ23校(100%)、電子カルテ2校(8.7%)である。盲学校では、点字と活字両方使用が約9.3%減少したが、電子カルテの利用校が17.3%増加しており、このことから、情報処理機器の環境整備と活用能力が向上していると考えられる。 (7)校外臨床  Q28校外臨床については、次のとおりである。 校外臨床(表28・グラフ3)は、盲学校で行う47校(78.3%)から49校(92.5%)と増加している。実施先の内訳は前回とそう変化がなく、今回の多い順として老健施設・老人ホーム36校、公共施設21校、一般企業19校、医療機関8校、保育園・幼稚園2校、その他9校である。また、年間回数は、最少回数1回、最多回数34回、平均回数8回である。学校協会で行う4校(17.4%)である。 (8)申し合わせ事項 Q29規約、Q30評価基準については、次のとおりである。  臨床に関する規約(表29)は、規約あり31校(51.7%)から32校(60.4%)、学校協会では 14校(60.9%)である。評価基準(表30)は、基準あり32校(53.3%)から37校(69.8%)、学 校協会で18校(78.3%)である。盲学校では、規約ありが8.7%、評価基準ありが16.5% 増加しており、規約と評価基準を見直した学校が増えている。 │【表29】規約(校数 %) │ │内容│H16 │H25 │学協 │ │あり│31(51.7)│32(60.4)│14(60.9)│ │なし│29(48.3)│21(39.6)│9(39.1)│ │【表30】評価基準(校数 %) │ │内容│H16 │H25 │学協 │ │あり│32(53.3)│37(69.8)│18(78.3)│ │なし│28(46.7)│16(30.2)│ 5(21.7)│ (9)臨床実習上の工夫  Q31臨床カンファレンス、Q32 OSCE、Q33空き生徒の対応は、次のとおりである。 臨床上の工夫は様々な形で行われており、その一つである臨床カンフレンス(表31)は、盲学校で行う44校(73.3%)から41校(77.4%)で、学校協会で行う14校(60.9%)である。OSCE(表32)は、盲学校で行う5校(8.3%)から18校(34.0%)で、学校協会で8校(34.8%)である。盲学校で、特に、OSCE導入校は25.7%増加し、臨床能力を高める意識が感じられる。また、臨床に当たらなかった生徒の対応(表33)は、教科学習、補助実習等、表のとおりである。 │【表31】臨床カンファレンス(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │行う │44(73.3)│41(77.4)│14(60.9)│ │行わない│16(26.7)│12(22.6)│9(39.1)│ │【表32】OSCE(校数 %) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │行う │5(8.3)│18(34.0)│8(34.8)│ │行わない│42(70.0)│33(62.3)│12(52.2)│ │検討中 │13(21.7)│2(3.8)│3(13.0)│ │【表33】空き生徒の対応(校数) │ │内 容 │H16 │H25 │学協 │ │教科学習を行う │9 │10 │10 │ │補助実習を行う │45 │41 │5 │ │自習している │20 │16 │6 │ │その他 │11 │21 │8 │ (10)参考・意見  Q34参考・意見は、教員の臨床力は肝要、治療過誤を起こしやすい生徒の指導方法、全体のリスク管理の重要性、患者確保の方法等、検討課題となる意見を多数頂いたが、紙面の都合で割愛する。 4 まとめ (1)臨床実習の実態調査として、盲学校と学校協会にアンケート調査を実施し、計111校中76校から回答が得られ(回収率68.5%)、前回調査と比較検討した。 (2)全国的に盲学校の生徒減少が進んでいる中、臨床の時間数は増加し、生徒1人あたりの年間患者数では、本保0.4人、専保26.4人、専理32.3人と各科とも増加した。 (3)刺鍼時の指サックは、盲学校で22.4%から37.7%まで使用校は増えているが、まだまだ問題点が多く、種々の状況に応じて使い分けされている。 (4)B型ワクチン接種校は、盲学校で51.7%から62.3%と増加しているが、公費負担校96.8%から78.8%に減少している。 (5)開設届けを出している学校は、36校(60.0%)から39校(73.6%)と届出の増加がみられ、学校協会でも22校(95.7%)とほぼ回答校全てが届けている。 (6)カルテ管理は、点字と活字両方使用が86.7%から77.4%と減少し、電子カルテの利用校が16.7%から34.0%と増加しており、情報処理機器の環境整備と活用能力が向上していると考えられる。 (7)校外臨床の実施は、78.3%から92.5%と増加がみられ、内訳は大きな変化はなく、多い順で老健施設、公共施設、一般企業、医療機関、保育園(幼稚園)等となる。 (8)盲学校の臨床に関する規約ありは51.7%から60.4%、評価基準ありは53.3%から69.8%と増加しており、規約と評価基準を見直した学校が増えている。 (9)臨床上の工夫としての臨床カンファレンスは、盲学校で77.4%が行っており、また、OSCEの導入校は8.3%から34.0%と増えている。 5 おわりに  今回の結果は、単純集計結果のみの報告で、様々な観点でのクロス集計は行わなかった2)が、各盲学校や更生援護施設に加え、東洋療法学校協会加盟校における臨床実習の概要的な実態を把握し、前回調査の集計結果と比較することができた。今後はこの基礎資料をもとに、現在の臨床実習体制と照らし、時代に即応した臨床実習指導体制を模索していきたい。そして、各校においてこの集計結果が少しでも参考になれば幸いである。  最後に、今回、本調査を行うにあたり、各盲学校・更生援護施設・学校協会加盟校では、年度当初のお忙しい中にも拘わらず、快くご協力頂きましたことをこの場をお借りしてお礼申し上げます。 【参考文献】  1)尾崎昭弘・坂本歩:鍼灸医療安全ガイドライン、医歯薬出版、2007年  2)内田治:すぐわかるEXCELによるアンケートの調査・集計・解析[第2版]、東京図書、2003年 【資料】理療臨床実習に関するアンケート(内容) │ │ │《 回答上の留意事項 》 │ │ 1.このアンケートは、平成24年度の実績でお答えください。 │ │ 2.Q1〜Q34の質問に対して、該当する番号に○印を記して下さい。 │ │ 3.空欄には数字やコメントをお願い致します。 │ │ 4.東洋療法学校協会加盟校の方は、Q6からご回答ください。 │ │ │ │Q1 理療科に設置している学科はどれですか。(複数回答可) │ │  1.本科保健理療科  2.専攻科保健理療科  3.専攻科理療科  4.その他│ │Q2 理療科の生徒数、および教員数は何人ですか。 在籍生徒 人 理療科教員 人 実習助手 人│ │Q3 臨床に携わった生徒数、および教員数は何人ですか。 生徒数 人  教員数 人│ │Q4 教員1人あたりの平均授業時間数は、週何時間ですか。 1週あたり平均 時間│ │Q5 理療臨床実習の時間数は週あたり何時間ですか。 │ │  1.本科保健理療科 時間  2.専攻科保健理療科 時間 │ │  3.専攻科理療科 時間   4.その他 │ │Q6 患者1人あたりの施術時間はどの程度ですか。 患者1人あたり 分 │ │Q7 生徒1人あたり、年間に何人の患者を施術していますか。 │ │  1.本科保健理療科 人  2.専攻科保健理療科 人  3.専攻科理療科 人  4.その他│ │Q8 1人の生徒が1日に患者を2人以上施術する日数は、週に何日ありますか。 │ │  1.本科保健理療科 日  2.専攻科保健理療科 日  3.専攻科理療科 日  4.その他│ │Q9 施術料金はいくらですか。 1.一律である。 1人あたり 円 2.施術内容によって異なる。│ │   ※その場合、具体的な内容と時間をお書き下さい。 │ │Q10 臨床に関する賠償責任保険には加入していますか。加入している場合、どこの保険ですか。│ │  1.加入している。 保険会社名(      )  2.加入していない。 │ │  (1)生徒は加入している。 (2)職員は加入している。 (3)生徒・職員共に加入している。│ │Q11 臨床実習での使用鍼は何を使っていますか。(複数回答可) │ │  1.銀鍼  2.ステンレス鍼  3.その他 │ │Q12 使用済みの鍼は消毒後に再利用していますか。 1.はい  2.いいえ  3.その他│ │Q13 灸はどのような方法で行っていますか。(複数回答可) │ │  1.透熱灸  2.温熱灸(カマヤミニ、せんねん灸等)  3.灸頭鍼  4.その他│ │Q14 鍼の施術時に指サックは使用していますか。 1.使用している。 │ │  2.使用していない。→Q17にお進みください。 │ │   ※使用しない理由をお書きください。 │ │ 3.現在、検討中である。→Q17にお進みください。 │ │ 4.その他 │ │Q15 指サックはどの時期から使用させていますか。 │ │  1.鍼実習の初期から。   2.鍼実習の途中から。(   学年  月から)│ │ 3.臨床実習開始時から。  4.その他 │ │Q16 指サックを使用した際の問題点等お書きください。 │ │Q17 B型肝炎ワクチンは接種していますか。 1.接種している。 │ │  (1)生徒は接種している。 (2)職員は接種している。 (3)生徒・職員共に接種している。│ │  2.接種していない。→Q19にお進みください。 │ │  3.接種を検討中である。→Q19にお進みください。 │ │Q18 接種は公費で負担していますか。 1.している(平成 年頃から) │ │ 2.していない 3.その他 │ │Q19 施術所の開設届は行っていますか。 1.届けている。 │ │  2.届けていない。→Q22にお進みください。 │ │  3.現在、検討中である。→Q22にお進みください。 │ │Q20 開設届の開設者は誰ですか。 │ │  1.学校長、またはセンター所長  2.都道府県知事、または市区町長  3.その他│ │Q21 開設届を出した理由をお書き下さい。 │ │Q22 臨床実習室の看板は設けていますか。 1.はい  2.いいえ  3.その他│ │Q23 予約制をとっていますか。 1.はい  2.いいえ →Q25にお進みください。│ │Q24 予約はどのように行っていますか。 1.電話での予約  2.来校しての予約  3.その他│ │Q25 生徒が一人の患者を継続治療していますか。 1.はい │ │  2.いいえ →Q27にお進みください。 │ │Q26 継続して何回治療を行っていますか。 最低 回 〜 最高 回 │ │Q27 臨床室におけるカルテ管理はどのようにしていますか。(複数回答可) │ │  1.点字のみ  2.活字のみ  3.点字・活字両方  4.電子カル  5.その他│ │Q28 学校外への校外臨床を実施していますか。 │ │   「はい」と答えた場合、年に何回、どのような場所で実施していますか。(複数回答可)│ │  1.はい  回数 回/年  2.いいえ │ │  場所 (1)公共施設  (2)医療機関  (3)老健施設・老人ホーム  (4)一般企業│ │     (5)保育園・幼稚園(小児鍼の施術)  (6)その他 │ │Q29 臨床実習に関する申し合わせ事項(規約・内規等)はありますか。 1.はい  2.いいえ│ │Q30 臨床実習の評価基準は設けていますか。 1.はい  2.いいえ │ │Q31 症例検討会(ケースカンファレンス)は行っていますか。 │ │   「はい」と答えた場合、年に何回程度実施していますか。 1.はい  回数 回/年│ │  2.いいえ │ │Q32 OSCEによる評価を行っていますか。 1.はい  2.いいえ  3.現在、検討中である。│ │Q33 臨床患者に当たらなかった生徒に対しては、どのような指導を行っていますか。(複数回答可)│ │  1.教科学習を行っている。  2.補助実習を行っている。  3.自習させている。  4.その他│ │Q34 臨床実習について、何かご意見やご参考となることがあればお書きください。│ │   (ここ10年間で、臨床実習で見直した点等も含む) │ │ 以上でアンケートは終わりです。お忙しい中、ご協力ありがとうございました。 │ │ │  4.「自宅開業を生かした臨床教育」      福島県立盲学校 小野祥一郎  私は5年前に退職し、3年前に開業した。現在盲学校に勤務しながら、兼業許可を得て、土曜・日曜だけ治療を継続している。飯館村から避難している患者A(73歳女性)は、震災前は広い家と畑を持っていたが、今は狭いアパートで脳卒中の夫と二人暮らしをしている。夫の介護、将来への不安、運動不足等が重なって頭痛・不眠・肩こりがひどい。このような方が増えてきている。   こうした実技経験を踏まえて、今回は、より患者に寄り添う臨床を教育するための発表を、2つの視点から行う。1点目は、手技を習得するうえでの指標、2点目は、按摩マッサージ施術についての考察である。     T. 生徒の臨床実技力をとらえるチェックリストの一試案  手技を習得するうえで必要な能力を、情報処理システム(入力・記憶・演算・制御・出力)の枠組みを参考にして、チェックリストを作成した。 1.入力  (1)人体とその健康に興味関心がある。  (2)気軽に質問し、分かると感動する。  (3)患者に個人差があることを理解し、配慮しようとする。  (4)指示されたこと等は復唱して確認する。  (5)大事なことや面白いと思ったことをメモする。  ※ 入力では、まず興味を持つこと、情報を正しくしかも重みづけしながら収集できる必要がある。   2.記憶  (1)説明されたことや読んだことをすぐに聞かれても答えられる。  (2)忘れても、以前の場面に戻れば思い出す。  (3)東洋医学的視点、西洋医学的視点等、自由に視点を移動できる。  (4)記録したものや辞書、索引を気軽に使う。  (5)集中して話を聞くことができる。  ※ 記憶では、膨大な記憶データの中から臨床にそって最適候補をあげる機能が必要である。短期記憶、長期記憶(エピソード・意味・手続き等記憶)や補助手段を活用して実現される。   3.演算  (1)言葉や図で学習したイメージと、実体験を結びつけられる。  (2)現在直面していることと、過去に疑問だったことを比較できる。  (3)触察した感触に違いがあることが分かる。  (4)タオル・衣服・表在組織をとおしてでも、指で骨や筋肉を区別できる。  (5)組織の粘弾性に違いがあることが分かる。  ※ 演算には、イコールとアンドとオアがある。言葉と体験、記憶と体験、多様なとらえ方、施術の必要な箇所を発見できることが重要である。   4.制御  (1)自己の言葉や行動について、これでいいか常に検討している。  (2)言葉によらない拒否のメッセージを察することができる。  (3)課題解決の手段を複数検討することができる。  (4)こだわり過ぎたり疲れ過ぎたりしないよう、感情も含め自己コントロールができる。  (5)褒められなかった人や苦手な人との出会いも、教訓として自己成長につなげられる。  ※ 制御はゴーとストップについて多角的に検討して、最善の選択ができることが重要である。   5.出力  (1)挨拶をよくし、自己の意志を明確に伝えられる。  (2)自己啓発のため、研修会や人的ネットワークを活用する。  (3)少々不安があっても、とりあえずの実行ができる。  (4)間違ったり失敗したりしても、良くなるステップとして生かすことができる。  (5)新たな課題、及びその解決の手段を見付けて実施できる。  ※ 出力は実行であると同時に、新たな入力からはじまるプロセスのはじまりでもある。5番目は新たなプログラムの創造になる。    担当する授業では、以上のチェックリストの結果を配慮して指導している。生徒Aは、制御は強いが出力が弱い。中途失明で不安が強いと解釈し、自信を持たせるようにした。生徒Bは、記憶が曖昧なので、確認することを心がけさせるようにした。生徒Cは、慎重過ぎるところがあるので、思い切った行動を促すように配慮した。      U. 按摩マッサージ施術に関する一考察(音楽との対比から)    按摩マッサージの施術においては、施術者がどのようにイメージを持てるかが課題である。そこで、音楽の特徴を取り上げ、施術のプロセスや効果と対比することで、8つの視点から考察を行う。   1.リズム  音楽は、リズムを重視する。施術も、リズムが重要である。圧迫や揉捏・打法などは、そのリズムが気持ち良さにつながる。  機械のように完全に規則的なリズムではなく、適度に不規則が入りながら、揺らぎを感じることで、患者は癒しを得る。  リズムの振動刺激によってパチニ小体が受容し、A10神経が作動し、ドーパミン増につながるためである。   2.強弱  音楽は、音色の強弱を重視する。施術も、体質や部位に合わせて軽くすべきところと、十分強めるところを見分ける。例えば、肩こりや腰部のこりには強めに力を入れるといった原則がある。   3.音色  音楽は、音色を重視する。施術者の個性や施術スタイル、施術室内外の環境は、患者にとっては音色のように感じる。従って、施術者自身の成長や、好ましい環境作りが必要となる。   4.音程  音楽は、音程を重視する。東洋療法においては「陰陽」が、音程に該当するのではないだろうか。  高い音を陽、低い音を陰として考えることができる。陰陽可分は、低い音の上下にも、さらに高い音と低い音が存在する。陰陽互根は、もう一つの音があってこそ、高低が定まる。   5.和音  音楽は、和音を重視する。不調を訴える患者においては、組織液の流れや代謝が乱れており、結合組織の弾性や筋緊張のゆがみをポリモーダル受容器が受容し、雑音のように情報を上げていく状態にある。  これは、音で雑音や不協和音を不快と感じるのと同じく不快を感じるものである。  施術は問題の箇所を審査で絞込み、触察で特定し、組織液や代謝の流れを整え、結合組織や筋緊張のゆがみを整える。これらの操作により、ポリモーダル受容器からの雑音を減少させ、それまでノイズキャンセルや不快さの処理に当たっていた鎮静系の能力が余剰となる。このため、気持ち良さを伴う眠気をもたらしてゆく。   6.ハーモニー  音楽は、ハーモニーを重視する。施術の効果には、施術者の個性と患者とのハーモニーが大きく関わる。患者の体の必要箇所にフィットした施術は、いいハーモニーを作り出す。患者との会話も、患者の流れに寄り添うことで好ましいハーモニーが得られる。   7.健康調整  音楽は高ぶった心を沈め、傷つき落ち込んだ心を慰め励ます効果がある。施術は、高ぶった組織を沈静(瀉)させ、あるいは不活発な組織を鼓舞(補)する効果がある。これらにより、心と体の一体(心身一如)の健康を目指すことができる。   8.調和  音楽では、音程の調和に「黄金分割」が活用されている。しかし、施術では気持ち良さや身体の粘弾性、痛みや違和感など、定量化が難しい指標を扱うため、陰陽調和の目安を見つけることが難しい。  しかしながら、音楽を参考に考えれば、施術の黄金分割を見出す可能性が導かれる。パチニ小体などで受けるa10神経ドーパミン系の「覚醒形気持ち良さ」と、ポリモーダルからのノイズが減少し余剰能力で惹起される眠気を伴った「沈静形の気持ち良さ」との比率を扱うのである。    以上の考察を踏まえ、今後は、陰陽調和を目指す実践を進めながら、施術の黄金分割について追究していきたい。 講  演  講師紹介    共栄大学 教育学部 教育学科 教授  光野 公司郎 (こうの こうしろう) 先生  学歴  宇都宮大学大学院 修士 教育学研究科 修士課程教科教育専攻 1995/03 修了  早稲田大学大学院 博士後期 教育学研究科  博士後期課程教科教育専攻 2005/03 単位取得満期退学  埼玉大学 教育学部 1985/03 卒業    職歴  栃木県下都賀郡野木町教育委員会 指導主事 2001/04 - 2005/03  栃木県教育委員会下都賀教育事務所 指導主事 2005/04 - 2007/03  大学設置審議会教員組織審査   東京未来大学こども心理学部准教授「国語」「国語表現」「こども心理学演習」  「卒業研究」「卒業論文」 2006 - 2006  課程認定委員会教員審査 東京未来大学こども心理学部准教授「国語」 2006 - 2006  国士舘大学文学部日本文学科 非常勤講師  担当科目−「国語科教育論T」「国語科教育論U」  「国語科指導法」 2007/04 - 2010/03  東京未来大学こども心理学部こども心理学科 准教授  担当科目−「国語」「国語表現」「こども心理学演習」       「卒業研究・卒業論文」 2007/04 - 現在  大学設置審議会教員組織審査   東京未来大学こども心理学部通信教育課程 兼担准教授「国語科教育法」  「教育実習指導(事前・事後)」「教育実習」 2008 - 2008  課程認定委員会教員審査   東京未来大学こども心理学部通信教育課程 兼担准教授「国語科教育法」  「教育実習指導(事前事後)」「教育実習」 2008 - 2008    研究分野  言語学  教育学  初年次教育の課題と対策    共栄大学教育学部                             教授 光野公司郎    レゴブロックが世界中の子どもたちの間で流行っている。今までの教育とは、子どもたちの頭の中のバケツに、このレゴブロックいかに沢山詰め込んでいくかという、言わば量的な学力育成が中心であった。  今、教育は劇的に変化した。これからの教育は、子どもたち自らが頭の中のレゴブロックを使って「お城」や「恐竜」という意味あるものを形づくっていけるという、言わば質的な学力の育成が求められることになる。  よって、初年次教育を考えていく場合、いかに効率よくブロックを詰め込めるかという量的な観点は最重要事項とはならない。持っているブロックを意味あるものにするためにどのように組み立てていけばよいかという質的な観点を中核にしていかねばならないのである。この観点とは、「論理的思考力育成」という一言で言い表すことが出来る。  論理に個性はない。我々は、日常生活において、帰納的思考と演繹的思考というたった二つの形式的な思考を用いて生きていることになる。よって、この二つの思考の意味を知り、よりよく使いこなせる人間が、よりよく生きていけるということになる。学校の授業においても同じである。「この二つの思考の意味を知り、よりよく使いこなせる人間」が、学んだ知識や技能を「使える」ものにしていけるのである。    初年次教育とは、この二つの思考の訓練の場に他ならない。この訓練を通して、得てきた知識や技能を総合的に意味づけできるような指導のあり方を考えていくことが各学校においては大切になってくるのである(小・中・高等学校においては『学習指導要領』が改訂され、全教育活動を通じて「言語活動」を充実させることが最も重要なことであると位置づけられた。この「言語活動」が、今まで述べてきた思考の訓練のことである)。  この訓練においては、まず、全員が、初年度のうちに、以下のような、複雑で、難しい、表現ができるように鍛えていくことが肝要である。『ぼくのお父さんはトラックのうんてん手です。きのうは遠くまで出かけたので帰ってきたのは夜おそくでした。きょうはにもつのつみこみがあるので朝早く出かけました。まい日まい日とてもよくはたらきます。ぼくも大きくなったらお父さんのようによくはたらく人になりたいです。』 第11回日本鍼灸手技療法教育研究会学術大会 資料(2013・12・1 於・筑波大学東京キャンパス) 初年次教育の課題と対策 共栄大学教育学部 光野公司郎 1 各学校における初年次の課題 = 専門的に学んでいくための「学力」がない   * 初年次の学力 @ 専門的に学んでいくための基盤となる知識・技能            A 専門的な学びを実の場に活用していくための思考力・判断力・表現力            B 主体的に学びに取り組んでいこうとする態度  *参考:学校教育法第30条第2項                    ↑             特に対策が遅れているのがAについて 2 育成すべき「思考力」とは   <人間の思考のスタイル>    人間は自分の主張を伝えるために二つのタイプの思考を行っている(J・ブルーナー)   @ 物語的(ナラティブ的)思考 個々の事象を、一つのストーリーの中に位置づけることによって意味づけ、そのストーリーをもって、世界や自己自身を代表させてゆくいとなみ            主張を物語として語る   A 論理的(カテゴリー的)思考 個々の事象を、論理的因果則に従った情報処理に依拠する思考によって関連づけ、筋道立てて展開し、客観性を持って理性に訴えていくいとなみ                主張を論理として語る(初年次教育で育成すべきもの) 3 初年次教育の核となる「論理的思考力」とは           <典型的サンプル『ぼくのおとうさん』>   はじめ  ぼくのお父さんはトラックの運転手です。   な か@ きのうは、遠くまで出かけたので帰ってきたのは夜おそくでした。   な かA きょうは、にもつのつみこみがあるので朝早く出かけました。   まとめ  まい日まい日とてもよくはたらきます。   むすび  ぼくも大きくなったらお父さんのようによくはたらく人になりたいです。               <あなた自身を分析してみよう> *多面的な自己   な か@                  な か@   な かA                  な かA    ↓                     ↓   まとめ  私はとてもまじめです       まとめ  私はとても      <情報を操作してみよう>  @ 「また行きたい」という「むすび」となる情報に切り取る    な か@    な かA     ↓    まとめ     ↓    むすび  社会科見学にまた行きたい  A 「二度と行きたくない」という「むすび」となる情報に切り取る    な か@    な かA     ↓    まとめ     ↓    むすび  社会科見学には二度と行きたくない 4 「論理的思考力」の根幹 = 言語化されない論理  * 専門的分野においては一般の社会生活で用いられる四構成では通用しなくなる    <『世界の日本人ジョーク集』(中央公論新社・2006)早坂隆より> @ ある豪華客船が航海の最中に沈みだした。船長は、乗客たちに、速やかに船から脱出して海に飛び込むように指示をしなければならなかった。船長は、それぞれの外国人乗客にこう言った。   アメリカ人には、「飛び込めばあなたは英雄ですよ。」   イギリス人には、「飛び込めばあなたは紳士ですよ。」   ドイツ人には、 「飛び込むことがこの船の規則となっています。」   イタリア人には、「飛び込むと女性にもてますよ。」   フランス人には、「飛び込まないでください。」   日本人には、  「                     」   * 人々の頭の中に存在するジョークの前提となる日本人への考え方 (                                       ) A 日本人とロシア人の技術者が、車の気密性について話し合っていた。   日本人技術者「我が国では気密性を試すために、猫を一晩車の中に入れておきます。そして次の日、猫が窒息死していたら、気密性は十分だと判断します。」   ロシア人技術者「我が国でも気密性を試すために、猫を一晩車の中に入れておきます。そして次の日、猫が(                    )たら、気密性は十分だと判断します。」 * 人々の頭の中に存在するジョークの前提となるロシア人への考え方 (                                       ) B フランスのとあるブランド店。その店の売り上げの一覧は以下のとおりである。   ・ 日本への輸出      ・・・ 45パーセント   ・(           )・・・ 55パーセント * 人々の頭の中に存在するジョークの前提となる日本人への考え方 (                                       )   <言語化されない論理の構造>   アリストテレスは人間である以上、いつか必ず死ぬだろう。 *世界一有名な論証      <論証の構造>   データ:アリストテレスは人間である。         AはB               理由づけ:人間は皆死ぬ         BはC   主 張:アリストテレスは死ぬだろう          AはC                  必ず死ぬもの =C                  人 間    =B                  アリストテレス=A                                        この行動決定の基準(=理由づけ)が一般の社会生活では常識として省略されて表現される * 「理由づけ」(大前提)の重要性   <共栄大学教育学部で育まれる論証>    データ:小1Aは、5日間連続で毎朝腹痛を訴えている                  理由づけ:朝の継続した腹痛の訴えは、(            )      主 張:小1Aは、(                           )   専門的な学びの意味 = 専門的「理由づけ」をたくさん・幅広く・深く身につけていく              (素人には決して真似のできないプロとしての専門性)   <本研究会に参加するそれぞれの学校で育むべき「理由づけ」はどのようなものであろうか?>   あなたの学校の専門的分野における「思考の枠組み」   ・一般的な考え方(素人の発想)          ・あなたの専門的分野 (    )は(    )である        (    )は(    )である      (    )は(    )である         (    )は(    )である (    )は(    )である        (    )は(    )である 5 「問題指向型診療録」(SOAP)と「論理的思考力」の関係性      はじめ  お父さん   な か@ 夜おそく    = S:主観的な情報   な かA 朝早く     = O:客観的な情報      まとめ  よくはたらく  = A:評価・判断                (AからPを導き出す「理由づけ」)   むすび  ぼくはなりたい = P:治療計画 6 まとめと今後の課題   まず、今学んでいることがどのような意味があるのかを理解させる(学びの本質を理解させる)。  (この授業が将来の自己の仕事のどこに関係するのか=何のためになるのかを明確に教える) 日本鍼灸手技療法教育研究会 第11回学術大会  全体アンケート結果 n = 42 ●「適当」の理由 ・ 学校行事と重ならないから。 ・ 次年度に対応できる。 ・ 来年度に向けて、授業計画等を改められる時期であると思う為。 ・ 年度も半分を過ぎ、日々の教育実践を振り返りながら聞くのに最も良い。 ・ 4月から入学した学生の質、傾向が見えて、2年時以降の対策を立てる時季だから。 ・ 日曜開催であれば、午前中からして欲しい。 ・ 日程等が早く分かれば有難いです。 ● 「どちらともいえない」の理由 ・ 年度末はなかなか難しい。 ・ 卒業試験等の時期であるが、他の時期も色々の行事がある為。 ・ 忙しい時期ではあります。ただ他に適当な時期が思い当たらない。 ● 「適当でない」の理由 ・ 来年度に活かすためにはもう少し早い時期の方が良かったかもしれません。  n = 42 ●「良い」の理由 ・ 慣れているから。 ・ 大きく、明るく、とても良い会場でした。 ・ 大きなスクリーンで、カメラで手元が見える。 ・ 広さ、建物内の位置、音響などよかった。 ・ アクセス、設備ともに良い。 ・ 交通アクセスがよく、場所が分かりやすい為。 ・ 新しい校舎はいいですね。スライドが左右にあって、音響も良い。 ・ スタンドを準備していただきお手数をおかけしました。ありがとうございました。 ●「どちらともいえない」の理由  n = 42 ●「満足」の理由 ・ 様々な観点からの報告で非常に興味深かったです。 ・ 各校の取り組みを知る機会となる。スライド発表がある場合は(事前に)資料があると   より良いと思います。 ・ 初年度教育の他校の悩み、取り組みに共通点が見られた。 ・ もう少し詳しい内容をお聞きしたかったです。 ・ もう少し時間を取って頂きたかったです。とても良い発表がもったいない気がしました。 ●「普通」の理由 ・ 各学校の様子を伺い知り、良かった半面、あはきの魅力をもっと語り合える場になれば良かった。 ・ 発表時間がもう少し長いとよかったと思います。 ・ 発表時間をもう少し長くして詳しい話を聴きたかったです。 ・ 発表内容のボリュームに対して時間が短かったようです。具体的なお話が少なかったようです。 ・ 発表時間の関係上、早口になってしまって聞き逃してしまった部分もある。スライド画面を印刷したものがあると良かった。 ・ 内容として興味がひかれるものが多く面白かったのですが、もう少しじっくり聞ける時間があると  よかったです。 ・ もう少し時間があると良かったかもしれません。もしくは発表者が内容を絞ってくださるとよかったと思います。 ・ テーマとちょっと外れた内容があった。 ・ 討論の時間を確保。討論に参加できるようにすること。 ● 「不満」の理由 ・ 準備不足。 ・ 発表時間を長くするとよい。 ・ 議題に対する具体的な対策が聞きたかった。 ・ テーマとちょっと外れた内容があった。 ・ 今回のテーマに沿っていないものもあった。唯一履正社のみ。深い論証がなく残念である。 ・ 結論が見えない演題があった。また、時間が短いのにつめこみすぎでした。 ・ 1つずつの内容が良かったとしても、速過ぎて残りづらい。パワポの資料でも欲しい。   n = 42 ●「満足」の理由 ・ 凄く勉強になりました。 ・ 大変勉強になりました。気づかされることも多かったです。 ・ 大変役立ちました。 ・ 非常に面白かったです。著書も購入させて頂きたいと思います。 ・ とてもわかりやすかったです。 ・ とても具体的で良かった。話がすぐに使えると思った。 ・ わかりやすい。参加型がよかった。話が生かせる内容でよかった。 ・ 自分の授業意義を伝える為にとても勉強になりました。光野先生の講演またお聞きしたいです。 ・ どの学校も課題としていると思うから。 ・ 具体的でイメージがはっきりしました。 ・ 内容が良かった。人選が良かった。 ・ 納得の多い講演でした。 ・ プロとして再認識させられました。 ・ 生徒への意識付け(理由付け)が改めて大切な事及びその方法を知る機会となった。 ・ 密度の濃い内容で、時間があっという間に過ぎました。わかりやすい講演で楽しかったです。 ・ 今回のように教育について講義を受ける機会は少ないので、とても自身の考えやスキルアップにつながると思いました。 ・ 何度受講しても良い内容だと思いました。 ・ 前回先生の講演を聞いた時より、よく分かった。 ・ 現在の生徒の学習状況を踏まえて、教員の工夫の大事さがよく分かった。参考にして授業を進め、生徒の学力を向上させたい。 ・ 論理的思考の具体例から、文章の書き方のヒントが多くあった。色、主張を見せるための具体例が、大事な点であることに気付いた。 ・ 論理的思考の原理についてよく分かりました。考え方の枠組みを生徒に伝えることが大切だと思います。 ・ 論理的思考の話が良くわかりました。 ●「普通」の理由 ・ 論理的指向を知る良い機会になりました。ありがとうございました。 5.講演会・総会のご意見 ・ とても勉強になりました。ありがとうございました。 ・ とても良い研究会でしたが、参加する教員が少ないのが残念でした。 ・ 毎度とても良い刺激になっています。 ・ とても有意義で勉強になりました。企画・運営にあたられた先生方に感謝いたします。 ・ 特に講演がとても面白かったです。参加形式なのも、とても入り込みやすかったです。 ・ あはき業界以外の講師の講演も時には良いです。 ・ 教育のプロの講演を聞けて良かった。 ・ 現在の問題を解決する大きなヒントをいただいて、参加して良かったと思います。ありがとうございました。 ・ 講演内容が充実していたので、参加意義を感じました。内容次第では、3時間余りの研修内容に、京都から参加する意義を見出せるか…。 ・ 大学を継続するのは無理があったのではないか。アンケートをとって、それをもとにディスカッションをした方が良かった。 ・ 今、本当に頭悩ませている内容だったので、とてもよかったです。これを自校に活かすにはどうしたらよいか考えていきたいです。 ・ 研究発表の各発表者の時間が短すぎてわかりづらかったので、人数を減らして発表時間を確保したらどうでしょう。 ・ 初年次教育の重要性、難しさを改めて認識できるとてもよい機会だったと感じます。 ・ どの学校もかかえている問題はよく似ていると感じました。そして情報を共有して初年次教育について考える良い機会となりました。ありがとうございました。 ・ 本校における初年次教育の取り組みの実際が聞けて良かった。初年次教育の課題と対策のお話は楽しく、わかりやすく勉強になりました。 ・ あはき教育のヒント、学生にわからせる為の教員の工夫こそ、もう一度考え直すきっかけになった。 ・ 研究報告に、もう少し時間をあててはどうか。どの報告ももったいない。もっと聞きたいと思いました。 ・ あはきの魅力を語り合い、学校へ持ち帰り生徒へ話したい。 ・ 研究報告の時間(演者1人あたり)が若干少ないように感じました。 ・ 研究報告の審査を行ってほしい。 ・ インターネット上に予告を出して欲しかったです。 ・ 聞く気の無い人がいることに驚いた。 6.今後の日鍼教の活動に対する要望 ・ 大会の冊子も大活字で弱視に配慮されていてありがたいです。これからも年1回ではありますが、継続されることを願っております。 ・ 引きつづき初年次教育について、もしくは入学前教育についてとりあげて頂きたいです。 ・ 今回のような教育法や指導法についての会となるととても良い。勉強の場となりありがたいです。 ・ 今、あはきの魅力が問われていると思います。免許の有用性をどのように国民に、マスコミに伝えるか。そして、教育現場に何が出来るのか。その意味で今回のテーマは適切であり、もう少し続けてはどうか。 ・ 重複障害者に対する教育方法もとりあげていただきたい(座学、実技ともに)。 ・ 学習に無気力な学生への内発的動機付けの手法について ・ 実技研修が欲しい。そのときは1日にして欲しい。 ・ 実技教育のありかた(はり実技など)をくんでほしい。 ・ 実技講座を機会があればお願いします。 ・ 盲学校と専門学校の両者でなる研究会であることから、あはき教育課程のコアカリキュラムの検討。教育課程そのものについて、課題として取りあげては。 ・ スライド資料を印刷(拡大文字・点字)したものも配布して欲しいです。 ・ 「晴盲問わず」の意見交換の場になっているわけではない。   平成25年度 日本鍼灸手技療法教育研究会 第11回総会 議事録 日  時:平成25年12月1日(土) 16:25〜16:30 会  場:筑波大学東京キャンパス文京校舎 134講義室 司  会:松下淳二理事 出席者数: 78名 議  題 第一号議案 平成24年度 事業報告          平成24年度 決算報告・監査報告  (資料:決算書) 第二号議案 平成25年度 事業計画案          平成25年度予算案 (資料:予算書)          新役員の選出   (資料:役員名簿) 第三号議案 その他  議長には武藤永治理事が選任された。 書記には寺崎直理事、議事録署名人には遠藤好美理事、松峰理真理事が選任された。 第一号議案   平成24年度事業報告について米田好孝事務局長より、役員会を3回及び学術大会を1回行った旨が報告された。  平成24年度決算報告について高橋雄輔会計より説明がなされた。また森岡裕貴監事より監査報告がなされた。  以上の事柄に関し、全員一致で承認された。  (資料参照) 第二号議案   平成25年度事業計画案について米田好孝事務局長より、役員会を3回および平成25年12月1日に学術大会を行なった旨が報告された。  平成25年度予算案について高橋雄輔会計より説明がなされた。  平成25年度役員の変更について米田好孝事務局長より、新役員として 臼井明宏理事(東海医療学園専門学校)、前田智洋理事(筑波大学付属視覚特別支援学校)が就任する旨が報告された。 以上のことがらに関して全員一致で承認された。 第三号議案   その他の議案については、提案はなかった。 最後に後藤治久副会長より挨拶をいただいて終了した。     鍼灸手技療法教育 第10巻     Education of Acupuncture and Manual Therapy Vol.10     平成26年 発行     発行:日本鍼灸手技療法教育研究会     編集:『鍼灸手技療法教育』編纂委員会 委員長 米田好孝     〒250-0875 神奈川県小田原市南鴨宮2-35-4             神奈川衛生学園専門学校内             Tel 0465-48-3929             Fax 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