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会長挨拶・コラム COLUMN

平成28年5月:新年度のご挨拶

第13代会長 栗原 勝美 先生

新入生や新転任の先生方を迎え、平成28年度の教育活動が始まりました。生徒の興味と意欲を喚起し、希望の進路実現に向けて努力できるよう指導・支援していく、そんな情熱と生徒への愛情に満ちた教育活動を展開したいものです。

全国の盲学校・特別支援学校では、多くの校長先生や副校長先生の異動がありました。理療教育や理教連について、まだご理解いただけていないかもしれません。改めて「理教連とはどんな組織なのか」をご理解いただけるよう書かせていただきます。

理教連は、昭和27年10月に組織された理療教育関係者による全国組織です。これまで、理療教育制度の改善、理療教育活動の充実、あはき業の発展に資する活動に取り組んできました。規約第3条には「この連盟は、視覚障害者の理療に関する教育と研究を推進するとともに、卒業生の職業活動に際して支援を行い、理療の発展と福祉の増進に寄与するための活動を行うことを目的とする。」とあります。すなわち、理教連は盲学校等であはき師として職業自立を目指している生徒の教育活動の充実、卒業生の就労環境の整備、あはき、とりわけ手技療法のエビデンス構築に向けた研究活動を推進しています。

教育・研究活動の成果として、毎年、「理療教育研究」を発刊しています。また、指導法の工夫をまとめた「理療教育事例集」、教育内容を精選した「理療科用コア・カリキュラム」、保健理療科の在り方について議論した「本科保健理療科の近未来像」等、教育課題に合わせた成果物をまとめてきています。毎年、研修会を行い、指導力向上等、理療科教職員の資質向上に寄与する活動にも力を注いでいます。

卒業生の就労支援、就労環境の整備に関する活動としては、「治療院開業事例集」、「視覚障害者のヘルスキーパー(企業内理療師)への就労に関する啓発ビデオ」等をまとめるとともに、進路指導に関する研修会を行っています。また、就労環境を整備するために、関係機関への要望・陳情活動も行っています。この要望・陳情活動のみをとらえて、「理教連は運動団体なので…」と言われることがあります。確かに理教連では、視覚障害があるあはき師の就労環境を守るための運動を行っていますが、1つの思想・信条によって行っているものではありません。ひとえに、視覚障害者の職域や生活を守るための活動であることをご理解いただきたいと思います。

そのほか、「盲学校実態調査」、「卒業生実態調査」等を行い、理療教育の現状と課題、今後の在り方を分析・提言していく資料としています。

理療科教員は、教員でありますが、あはきの臨床家・研究者としての側面をもっています。理療科教員の臨床力は座学を指導する際にも大切です。研究活動は自己の資質向上に繋がるとともに、あはきの社会的評価を高める活動にも繋がっています。そして、その社会的評価が卒業生の就労にも繋がっていくということです。このような、理療科教員の幅広い役割もご理解いただきたいと思います。

以上、理教連には教育・研究団体としての側面と運動団体としての側面があります。理教連全体として評価していただき、引き続き、関係者のご理解・ご支援をいただければ幸甚です。

さて、会員の皆様、日頃のご協力に心から感謝申し上げます。関係者の理解をいただき、理教連の活動が円滑に進められるよう、結束して日々の教育活動に取り組みましょう。生徒理解、指導内容の精選、指導法の工夫等、日頃から授業研究を充実させ、楽しい授業、分かる授業を行うことが生徒からの信頼に繋がります。その信頼があってこそ、授業に臨む生徒の意欲も高まるのです。自らを振り返り、襟を正すべきところは襟を正し、自信と誇りをもって生き生きとした教育活動に取り組みましょう。

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」に学び、生徒の明るい未来を目指してがんばりましょう。