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会長挨拶・コラム COLUMN

平成29年1月:節目の年に思うこと

第13代会長 栗原 勝美 先生

あはき教育・業界にとって激動の幕開けとなった2016年が過ぎ去り2017年を迎えました。本年は、あはき法制定70周年に当たり、11月3日には周年行事が予定されています。また秋には、あはき師国家試験在り方検討会の報告書がまとめられ公表されます。各学校・養成施設は4月に施行されるあはき師学校養成施設認定規則の改正を受けて2018年度入学生から適応される新カリキュラムを検討・確定していくことになります。そして、昨年7月に提訴されたあマ指師養成課程新設不認定処分取り消し訴訟の本格的な論戦が繰り広げられる見通しです。まさに、あはき教育・業界にとって節目の年となります。

2017年(平成29年)は「丁酉」年。「丁」は「火」の、「酉」は「金」の性質があり、五行思想では「火尅金」の関係にあります。「丁(火)」が「酉(金)」を弱めてしまう関係にあるということで、慎重に物事を進めなければなりません。節目の年に当たり、大きな判断や決断を求められることもあろうかと思いますが、熟考を重ね、内外の関係者と相談しつつ、慎重に行動してまいりたいと考えています。

あはき師学校養成施設認定規則の改正では、コミュニケーション能力の向上、倫理教育の充実、臨床教育の充実が求められています。これらが求められた背景を理解し、新カリキュラムを作成することが大切です。そして、そのカリキュラムの教育理念や教育目標を組織として共有し、明確な意図をもって教育活動を展開して行くことが大切です。安心・安全・有用な施術を提供できる施術者の育成を目指して努力しましょう。また、国家試験在り方検討会では、あはき師の資質、それを身に着けさせるためのコア・カリキュラム、基本資質を判断するための問題数や問題形式、第三者による実技評価の在り方等、幅広く検討される模様です。いずれもあはき師の資質の向上を求めるものであり、同時に国家試験偏重になりがちな現在の教育に警鐘を鳴らしています。視覚障害者のあはき師養成教育を担っている私たちもこのような問いかけに耳を傾け、視覚障害者を含めた我が国のあはき教育・あはき業のあるべき姿を提案していかなければなりません。

盲学校のあはき師養成課程では、先の見えない卒後の進路に苦慮しています。これを解決し、魅力ある進路を提示することができれば、生徒数の確保にもつながることと思います。新たな制度の検討も含め、大胆な提案も必要になってくることでしょう。

あマ指師養成課程新設不認定処分取り消し訴訟は視覚障害者の生存権をおびやかす重大な問題です。関係団体と連携し、原告の平成医療学園グループを敗訴に追い込むまで被告の国を支援していきます。マスコミや裁判官、国民に私たち一人一人の願いを理解してもらえるよう、努力しなければなりません。

このような大きな問題があるとそれに前のめりになりがちです。日頃の教育活動がおろそかにならないよう、自分を戒めることが必要です。年頭に当たり、生徒理解、使命感・熱意・感性、統率力、指導技術、教材開発・教材研究などの観点で自分の教育活動を振り返り、教育者としての思いを新たにしたいと思います。

本連盟は、2016年の第65回定期総会で支部制導入を決定し、現在各地域でその準備を進めています。2017年度の第66回定期総会を経て全国7支部が立ち上がる予定です。本部と支部との連携を図りつつ、各地域での活発な活動を期待しています。支部制導入は、本連盟設立以来の組織形態を変える大きな節目となりました。その検討過程では、会員間の摩擦もありましたが、それを乗り越え、団結して理療教育の発展を目指したいと思います。本部と支部、会員相互の理解を深め、信頼のきずなで課題を解決していきましょう。

理療教育の節目の時期に生きる同志として、視覚障害者のあはきを将来につなげるために皆様のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げます。