日本理療科教員連盟ロゴ
文字サイズ変更 標準
            会員ページ
ログイン
MENU

MENU

会長挨拶・コラム COLUMN

平成29年5月:平成29年度の重点施策

第13代会長 栗原 勝美 先生

平成29年度を迎え、理教連は新たな一歩を踏み出します。

本連盟は、昨年の第65回定期総会(大分)で支部制導入を柱とした組織改革を決定しました。この7月に名古屋で行われる第66回定期総会で全国7支部が承認される運びです。平成31年度の新組織への完全移行を目指して現在も準備中ではありますが、いよいよ理教連本部と各支部とが協力して理療教育の発展を目指すことになります。各支部を中心にそれぞれの地域の理療教育・あはき業の発展につながる活動を推進すると共に、理療教育や、あはき業全体に関わることは本部が中心となって推進していきます。各地域の支部と本部が連携・協力し、地域の課題や全国的な課題に即応できるような組織として発展させていきたいと思います。

組織形態が変わっても理教連の目的は変わりません。理教連新規約第2条に「本連盟は、視覚障害者の理療に関する教育と研究を推進するとともに、卒業生の職業活動に際して支援を行い、理療の発展と福祉の増進に寄与するための活動を行うことを目的とする。」と定めているとおりです。すなわち、本連盟は教育・研究活動を推進すると共に、理療教育、あはき業の改善・発展を求める要望・陳情活動を行っています。これまでの理教連の活動と目的をご理解いただき、引き続き、会員並びに関係者の皆様の御支援・御協力をお願いする次第です。

私が本連盟の会長を承って2年が経ちます。この間、専門部・委員会の継続的な活動と共に、理療教育、あはき業の現状や課題について会員間の共通理解を図るよう活動してきました。これからは、共通理解された課題について具体的な解決策を検討していく時期となります。

本年度の第66回定期総会の活動計画の中で下記のような取り組みを提案する予定です。いずれも、単年度で解決できるような課題ではありませんが、視覚障害者の理療教育の展望が描きにくい今だからこそ、将来につながる種をまき、これからの理療教育を担う次世代の皆様に豊かな果実の実りを委ねたいと思います。本年度は、その先鞭をつける年として位置付け、執行部を挙げて取り組みたいと思います。以下、本年度からの重点施策です。お読みいただき、1つでも実現に近づけることができるよう、一層のお力添えをお願いします。

平成29年度重点施策(総会提案内容)

平成27年度第64回定期総会(松本)以来、視覚障害者を対象とした理療教育の厳しい現状を共有し、課題を明確化することに努めてきた。それを踏まえ本年度から、課題解決に向けた具体的な方策を検討していく。

1.会員一人一人の成長と結束が教育力・組織力を高め、理療教育の発展につながる。

(1) 組織改革・支部立ち上げを受けて、各地域での理療教育の活性化を推進する。

(2) 理療科教員一人一人の授業力向上を目指し、生徒の実態に応じた教授法について研修・検討を推進する。

(3) 次世代の理療教育・理教連を支えていく若手の理療科教員の活躍を推進する。

(4) 教育環境の改善を目指して「デジタル教科書検討委員会」を立ち上げ、具体的な検討を進める。

2.「就労問題の解決こそが理療教育に明るい未来を拓く!」をスローガンにあはき関連職種の現状と課題を分析し、具体的な解決策を提案する。

(1) 「就労問題解決プロジェクト」を立ち上げ、関係者を巻き込んだ検討を推進する。現状の関係法の範囲の中でできること、法改正を含めて検討する必要があること等に分けて、実現可能性を探りつつ検討を行う。

(2)視覚障害があるあマ指師の生活権・生存権を死守するため、平成医療学園グループが提訴している「あん摩師学校不認定処分取り消し訴訟」において国が勝訴するよう全力で支援する。

「あん摩師法19条連絡会」の幹事団体として裁判傍聴、理解・啓発活動、署名活動、募金活動、はがき要請活動等を行う。

(3) 機能訓練指導員の要件に鍼灸師を加えようとする動きを注視し、視覚障害のあるあマ指師の職域を確保する観点からこれを阻止する活動を推進する。

3.視覚障害者を含めたあはき教育・あはき業の在り方を検討する。

視覚障害者を含めたあはき教育・あはき業の発展とはどのようなものなのか、当事者として検討を進める。コア・カリキュラムの内容、国家試験の水準、統一到達度試験、第三者による実技評価、生涯教育等の課題について当事者としての意見が共有できるよう検討する。

新入生を迎えて2ヶ月あまりが経とうとしています。この間、あはき師を目指して入学してこられた生徒は、漠然とした不安や夢をかかえ、手探りで学校生活を送っていることでしょう。理療科教員には、一人一人の生徒に寄り添い、生徒の漠然とした不安を和らげ、漠然とした夢を具体的な目標につなげていく、そうした支援をすることが求められています。日々の授業をおろそかにしないことは当然ですが、校内外の活動にも積極的に参加し、視野を広げ、暖かい人間性を培うことも大切です。それが教員としての成長につながり、生徒はもとより他者からの信頼にもつながります。新年度の初めに、自己を振り返り、気持ちを新たにしたいと思います。

新会員を迎え、理教連も新たな成長が求められています。会員全員が結束し、開かれた理教連として意見を戦わせ、合意形成を図り、活発な活動を進めていきましょう。